2016 Fiscal Year Research-status Report
RNA-Seqによるトランスクリプトーム解析を用いた妊娠高血圧症候群の病態解明
Project/Area Number |
16K11117
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
西澤 春紀 藤田保健衛生大学, 医学部, 准教授 (80367698)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | pre-eclampsia / placenta / RNA sequencing |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,妊娠高血圧症候群の胎盤を用いてRNA-Seqによるトランスクリプトーム解析を行い,転写産物の発現定量のみならず,これまでの手法では明らかとなっていない新規転写産物を網羅的に検討することを目的としている。 初年度は,重症妊娠高血圧腎症 (PE) 群:8例,対照妊婦として合併症のない正常血圧妊婦 (NL) 群:8例および子宮内胎児発育不全 FGR) 群:8例の計24例の胎盤を帝王切開時にサンプリングした。 RNAを抽出し,ライブラリを作製後にシーケンスを行い,得られたリードをゲノムにマッピングし,CLC Genomics Workbenchを用いて解析を行った。 はじめに,Quality check後に解析した57,773遺伝子に対して群間比較を行ったところ,NL群とPE群において,Fold Change > 2,P-value < 0.05かつFDR p-value <0.25を満たすのは168遺伝子であった。一方,NL群とFGR群において,同条件を満たすのは1,314遺伝子であった。このうち,PE群とFGR群で共通していたのが,37遺伝子であり,31遺伝子が増加し,6遺伝子が低下していた。PE群でのみ差を認めたのが131遺伝子であり,102遺伝子が増加し,29遺伝子が低下していた。FGR群でのみ差を認めたのが1,277遺伝子であり,900遺伝子が増加し,377遺伝子が低下していた。 次に,我々がこれまで行ってきた妊娠高血圧症候群に対するマイクロアレイ研究によるデータ(Affymetrix Human Exon 1.0 ST Array (21,014 genes)と比較解析し,PE群およびFGR群においてRNA-Seqによる特異的発現差を有する遺伝子を同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究内容として予定した妊娠高血圧症候群におけるRNA-Seqによるトランスクリプトーム解析を実施し,既知遺伝子における転写産物について対照群との定量比較や新規遺伝子リストの作成および従来の研究との比較につおいて概ね実施することが可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い,RNA-Seqによるトランスクリプトーム解析の結果より得られた転写産物やスプライシングジャンクション(各アイソフォーム)について,対照群および妊娠高血圧症候群の胎盤サンプルを用いて,定量的RT-PCR,western blot,ELISA,免疫染色など通常の分子生物学的手法により標的蛋白に対する検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
初年度の支払請求額1,800,000円のうち,1,795,810円を使用し,次年度への繰り越し額は4,190円であり,概ね予定予定通りに研究費の適正な使用が可能であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究申請に従い,研究経費を使用予定である。
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