2017 Fiscal Year Research-status Report
ヒト胎盤分化成熟機構の解明:分化ステージの異なる細胞を分取し比較するアプローチ
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16K11118
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
石原 直恵 (琴村直恵) 藤田保健衛生大学, 医学部, 研究員 (50571791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 信広 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00189705)
石原 悟 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (00300723)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 胎盤 / 栄養膜細胞 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々の研究目的は、胎盤の主要構成細胞である栄養膜細胞の分化に関わる新たな因子を同定することである。これまでの研究で、栄養膜細胞のモデル細胞(JEG3細胞株)を分化誘導処理すると、アロマターゼ(エストロジェン合成酵素)遺伝子を発現した細胞や、凝集した核を持つ細胞など、分化ステージが異なると思われるヘテロな細胞集団を形成することを確認していた。そこで本研究では、アロマターゼの発現と核の形態を指標として、分化初期(アロマターゼ陰性、核正常)、分化中期(アロマターゼ陽性、核正常)、分化後期(アロマターゼ陰性、核凝集)の3つの分化ステージの細胞を分取し、遺伝子発現を比較することにより、新規分化関連因子の同定を目指している。 昨年度は、ヒストンH2B-GFP融合タンパクを発現する細胞株(H2B-GFP株)を樹立した。H2B-GFP株を分化誘導処理した後、蛍光観察したところ、核の形態が正常な細胞以外に、凝集した核を持つ細胞を確認できた。これにより、生きた状態で核の形態を見分けることが可能となった。 H2B-GFP株は、アロマターゼ遺伝子をmCherry遺伝子に置き換えたレポーター細胞株の作製に用いる。そこで本年度は、H2B-GFP株が親株のJEG3細胞株と同様の特徴を持っているかを確認した。H2B-GFP株を分化誘導処理し、アロマターゼの発現を免疫染色で調べたところ、JEG3細胞株と同様にアロマターゼ陽性細胞と陰性細胞が確認できた。また、JEG3細胞株や栄養膜細胞で発現が報告されているE-カドヘリンなど複数のタンパクの発現も免疫染色で確認できた。これらの結果より、H2B-GFP株はレポーター細胞株の作製に用いて良いと判断した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H2B-GFP株の特徴の解析に予定より多くの時間を要し、本年度中にレポーター細胞株を作製することが出来なかった。しかし、レポーター細胞株の樹立に使用するCRISPR/Cas9システムの目処はついているので、今後は速やかに研究が進行すると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
H2B-GFP株のアロマターゼ遺伝子をmCherry遺伝子に置き換えた細胞株を樹立する。樹立したレポーター細胞株を分化誘導した後、セルソーターにかけ分化ステージの異なる細胞を分取し、次世代シーケンサーを用いて各細胞集団の遺伝子発現を比較する。
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Causes of Carryover |
理由;本年度に購入予定だったCRISPR/Cas9システム関連の試薬の購入が次年度に繰り越した。 使用計画;本年度購入予定であった試薬の購入や論文投稿の費用に充てる。
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Research Products
(2 results)