2017 Fiscal Year Research-status Report
ハイリスク型ヒトパピローマウイルスの先天性感染:胎児と母体の病理臨床像の解明
Project/Area Number |
16K11122
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Children's Medical Center (Department of Clinical Research) |
Principal Investigator |
福澤 龍二 東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), 臨床研究部, 研究員 (40245543)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性絨毛炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハイリスク型HPVのHuman Papilloma Virus (HPV) 感染症を、子宮頸部の異形成および癌や頭頸部の癌の原因として知られている。妊娠時の胎盤への感染の有無についてはあきらかにされていない。 本研究は、ハイリスク型パピローマウイルスが慢性絨毛炎の発症に関連すること調べた最初の研究である。過去の胎盤の病理検索で、慢性絨毛炎診と考えられた症例を組織学的に再検討した。組織学的に、胎盤の絨毛周囲、絨毛内にリンパ球、形質細胞や組織球の浸潤が見られ、他の既知の感染症 (TORCH) が否定出来た50例を原因不明慢性絨毛炎(Villitis of unknown etiology)と診断した。また、胎児の発育との関連を調べるために、Redlineの分類に基づいた炎症の程度と広がり、胎児血管性閉塞性病変の合併の有無について調べた。 免疫染色 (L1 capsid antigen) と13 タイプのハイリスク型パピローマウイルスを認識するプローブを用いて、ハイリスク型パピローマウイルスの有無およびその局在について検討した。 現在まで、原因不明の慢性絨毛炎と診断した胎盤50例すべてに、ハイリスク型パピローマウイルスを検出している。おもな局在は、間質と絨毛細胞であった。結果は、ハイリスク型パピローマウイルス感染と慢性絨毛炎の関連を示唆するものであるが、さらに、パピローマウイルスのタイピングを含めて、因果関係について慎重に検討を行っている。さらに、ハイリスク型パピローマウイルス陽性の慢性絨毛炎を伴う胎盤を持つ母体の妊娠高血圧、糖尿病、胎児の発育の関連などについて検索を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
病理学組織学的に調べ、胎盤50例を慢性絨毛炎と診断した。慢性絨毛炎50例と慢性絨毛炎の所見のない胎盤20例に対して、13 タイプのハイリスク型HPVを認識するプローブを用いて、In situ hybridization法を行った。結果、慢性絨毛炎50例すべてに、ハイリスク型HPVが陽性であり、コントロールは陰性であった。慢性絨毛炎を起こした胎盤の母体の年齢、妊娠高血圧との関連、胎児の成長について、データを収集した。
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Strategy for Future Research Activity |
慢性絨毛炎50例にハイリスク型HPVが陽性であった。これら50例のパラフィンブロックから抽出された質の高いDNAを用いて、アレイ法(複数のハイリスク型HPVのタイピングを行う)により、慢性絨毛炎では、どのタイプのHPVが高い頻度見られるか子宮頸部の異形成や癌と比較しながら調べる。 慢性絨毛炎を起こした胎盤の母体の年齢、妊娠高血圧との関連、胎児の成長について、データを統計処理する予定である。
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Causes of Carryover |
ウエットな研究作業に多くの時間を要した。特に、予定していたアレイによりHPVのタイピングをするため、昨年パラフィンブロックから抽出したDNAのクオリティが低かった。この理由で、再度、パラフィンブロックからの質の高いDNAを抽出するために多くの時間を要したことがあげられる。また、昨年、ニュージーランドを訪問し、研究発表をする予定であったが、中止になり渡航しなかった。 パソコンの購入や統計処理を行う。 ニュージーランドを訪問し、セミナーおよび会議を行う。
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