2019 Fiscal Year Annual Research Report
Maternal and fetal infection of human papilloma virus
Project/Area Number |
16K11122
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
福澤 龍二 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (40245543)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒトパピローマウイルス / 妊娠中毒症 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトパピローマウイルス (HPV) 感染による妊娠中の母体や胎児への影響については明らかになっていない。本研究では、HPV感染による母体や胎児への影響について原因不明の慢性胎盤炎と妊娠中毒症の胎盤を用いて、以下の検索を行った。 目的:1) HPVの胎盤への感染の有無と同ウイルスの型の詳細なタイピング解析。2) ヒトパピローマウイルスの胎盤への感染と慢性胎盤炎および妊娠中毒症との関連(発症のメカニズム) 結果および考察:1) HPVの遺伝子型タイピングアレイとDNA in situ ハイブリダイゼーション法により、高リスク型と低リスク型のどちらか、あるいは両方のHPVを慢性胎盤炎と妊娠中毒症の胎盤から検出した。特に高リスク型HPVは、原因不明の慢性胎盤炎 (100%) 、妊娠中毒症 (79%) の胎盤組織からそれぞれ高頻度に検出された。このうちHPV18型が最も高頻度に検出された。2) HPVと慢性胎盤炎との関連を示すために、HPV由来のL1カプシッドタンパクの発現の局在を免疫染色法により検索した。L1カプシッドタンパクの絨毛への結合から、HPVの感染が炎症を惹起することが示唆された。E6/7遺伝子産物は、絨毛栄養膜細胞へのトランスフエクションの実験では、栄養膜細胞の移動・浸潤・サバイバル能、血管内皮への結合能の低下が見られる。このことから、同遺伝子産物の胎盤における発現は、妊娠高血圧を引き起こす要因と考えられる。本研究では、RNA in situ ハイブリダイゼーション法により、高リスク型に特異的なウイルスの遺伝子産物E6/7の発現を妊娠高血圧症の胎盤で調べた。その結果、23例中19例(70%)にその発現が脱落膜および絨毛に見られた。これらの結果から、HPVの胎盤への感染は、慢性胎盤炎と妊娠中毒症の原因のひとつである可能性が示された。
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