2017 Fiscal Year Research-status Report
子宮平滑筋肉腫の高悪性度を規定する遺伝子異常の解析
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16K11124
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡利 英道 北海道大学, 医学研究院, 教授 (10344508)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | leiomyosarcoma / ncounter / microarray |
Outline of Annual Research Achievements |
新規の子宮平滑筋肉腫検体を得ることが困難であったことから、今年度はすでに子宮平滑筋肉腫と診断されて治療が行われている、ホルマリン固定パラフィン包埋検体を用いた解析をおこなうこととした。具体的には、病理学的に子宮平滑筋肉腫と診断された患者の摘出子宮検体から、それぞれ肉腫組織と(正常)筋層組織を採取し、それらからmRNAを抽出した。抽出したmRNAのqualityを確認後、デジタルカウント遺伝子発現解析(ncounter)およびアジレント社のSurePrint G3 Human GE 8x60K v3を用いた網羅的遺伝子発現解析を実施した。前者においては、正常筋層組織と比べて肉腫組織内の免疫環境の相違を検討すべくPanCancer Immune Profiling for Humanパネルを用いて検討した。現在、得られたデータを解析中である。preliminaryな段階ではあるが、正常筋層に比べて肉腫組織においては免疫細胞の数が全体として減少していることを確認している。興味深いのは、その中でも免疫抑制的に作用すると考えられている制御性T細胞の数は肉腫組織において増加している傾向が認められている点であり、肉腫における治療抵抗性(化学療法抵抗性、放射線抵抗性)に密接に関与している可能性を推測している。現在、その結果を臨床検体を用いた免疫組織化学染色の手法を用いて検証を進めている。 cDNAマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析については、データは取得したものの具体的な解析には至っておらず、平成30年度に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新鮮凍結組織が得られなかったため、解析手法を変更した。その結果、保存組織検体を用いて解析を行うこととした。 そのため、解析結果を得ることと解析結果の解釈に時間を要しており、培養細胞を用いた実験にまで着手できていないため、計画よりも進捗が若干遅れていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施した検討から同一個体における正常筋層と肉腫において免疫環境の違いが明らかになり、肉腫における治療抵抗性の一端が解明されることを期待している。さらに、網羅的解析によって発現量の異なる遺伝子の同定とそれらを標的とする治療開発に繋がる基礎データを得ることが期待される。 以上の解析結果に基づき、さらに多数例の臨床検体を用いた検討を多施設で行うことを検討している。また、得られた結果をin vitro、in vivoの実験系で検証できるよう準備している。
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Research Products
(1 results)