2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11130
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
平川 隆史 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (80375534)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 予後因子 / 化学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
当科で2007年~2012年に手術を施行し上皮性悪性卵巣腫瘍と診断した95例について、免疫組織化学染色法で腫瘍組織におけるPin1発現を評価し、組織型や臨床進行期、無増悪生存期間、全生存期間との関連を評価した。Pin1は漿液性癌に強く発現する傾向を認め、Pin1の発現強度が無増悪生存期間、全生存期間と関連する可能性が示された。 上皮性卵巣癌培養細胞株に発現する内因性Pin1発現をWesthern blotで評価したところ、漿液性癌由来の細胞株であるSKOV3, OVSAHO、明細胞癌由来の株であるTOV-21Gで強発現が確認された。漿液性癌由来のOVCAR3, KURAMOCHIでは弱発現、粘液性癌由来のMCASでの発現は確認されなかった。 上皮性卵巣癌培養細胞株6種(漿液性癌株4種 SKOV3, OVCAR3, KURAMOCHI, OVSAHO、粘液性癌株1種 MCAS, 明細胞癌株1種 TOV-21G)におけるPin-1阻害剤3種(Juglone, PiB, EGCG)の投与による増殖抑制効果をMTTアッセイで評価した。SKOV3におけるEGCG添加によるic50は5.93μM、OVSAHOにおけるJuglone添加によるic50は7.26μMであり、他の組み合わせと比較して低濃度であった。 以上より臨床検体におけるPin1発現が卵巣癌の予後と関連し、細胞実験においてはPin1の機能抑制によって腫瘍増殖が抑制される可能性が示された。総じてPin1は卵巣癌治療の標的分子の1つになりうることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は臨床検体を使用しての免疫組織化学染色法でPin1の発現と臨床情報の関連についての解析を行い、Pin1発現が上皮性卵巣癌の予後因子となりうることが示された。一方卵巣癌組織におけるレチノイド関連タンパクの発現と臨床情報の関連については解析途中である。 卵巣癌のレチノイド、Pin1を介するシグナル伝達経路の解析についてはWestern blotによる標的タンパクのリン酸化を評価しているが定量性に問題があり、実験条件の適正化を進めている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
Pin1・レチノイドを介する卵巣腫瘍増殖のシグナル伝達経路について、Pin-1 の標的蛋白であるRB、p53、Tau、Myc、Jun、CyclinD1 などのリン酸化を認識する特異抗体を用いたWestern blot 法でリン酸化抑制の有無を評価する予定である。実験条件の適正化を図り、それぞれの分子について評価を行う予定である。 Pin1阻害剤の応答が期待できるマウスモデルを作成し、Pin1阻害剤投与による抗腫瘍効果を確認する。BALB/c-nu マウスに卵巣癌細胞株を注入することで腫瘍を形成させ、Pin1阻害剤を投与することにより腫瘍の退縮が確認されるか検証する。
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Causes of Carryover |
シグナル伝達解析の定量性に問題があったため、当初予定していたChipアッセイを行うに至らず 助成金を持ち越す結果となった。 平成30年度はマウスモデルでPin1による卵巣癌の抗腫瘍効果を評価する予定である。マウス購入や飼育・維持に費用が必要と考える。
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