2017 Fiscal Year Research-status Report
iPS細胞を用いた分化誘導癌幹細胞モデル作成と新たな治療標的の探索
Project/Area Number |
16K11131
|
Research Institution | Research Institute for Clinical Oncology, Saitama Cancer Center |
Principal Investigator |
足立 克之 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 病院 婦人科, 医長 (90735200)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 子宮頸癌 / 癌幹細胞 / HPV |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】婦人科癌幹細胞自体の機能解明と子宮頸癌癌幹細胞モデルの樹立 【方法】子宮頸癌はヒトパピローマウイルス (HPV) が扁平上皮-円柱上皮移行帯 (SC-junction) に感染して癌化に至ることから[1] SC-junctionにある組織幹細胞、リザーブ細胞に注目し、iPS細胞からリザーブ細胞を樹立した。 [2] iRCより子宮頸癌癌幹細胞を樹立するため、iRCにHPV16,E6,E7とHPV 18E6,E7を遺伝子導入した。 【結果】[1]EGF、サイトケラチン用培養液、コラーゲンIVを基質として組み合わせることでiPS細胞からリザーブ細胞モデルを作成した。リザーブ細胞(組織幹細胞)であることの証明として、継代を続けたところ継代できることが証明された。また、培養条件を変えてマトリゲル中で培養した場合には腺上皮様細胞に分化し、air-liquid interface cultureを行うと扁平上皮様細胞に分化した。このことから私達が誘導したiRCが組織幹細胞であることが証明された。[2] HPV16,E6,E7とHPV 18E6,E7を遺伝子導入したiRCは形態が変化し、継代を継続することができることから不死化に成功していると考えている。一方で癌である証明、子宮頸癌のモデルある証明についてはまだであり、今後はこれらの細胞をマイクロアレイなどに提出し形質を確認すること、継代後もその形質が維持されるかどうかを確認する。【結語】計画の2年目であり、研究計画の前半から中盤について研究を行った。現時点で子宮頸癌癌幹細胞モデルの作成にもう一歩まで来ていると考えている。今後はE6,E7だけでよいのか、whole genomeを入れるほうがより生体の子宮頸癌に近くなるのかを試行錯誤する必要があると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
リザーブ細胞が、子宮頸部の組織幹細胞であることの証明に複数の実験を行ったことで、時間は経過したがより良いモデルに近づいていると考えている。大幅な遅れはなく次年度以降は計画どおりに進行することが期待される。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、子宮頸癌癌幹細胞であることをより強く説得力のある証拠を積み上げる方向に研究が進む。証拠をより増強させるために、タンパク発現、マイクロアレイ、継代を続けることができるのか、継代を続けた場合に形質変化が起こるのか、起こる場合には形質を維持するにはどのような工夫が必要か、因子が必要かを探索する。
|
Causes of Carryover |
(理由) ほぼ予定通りに使用した。しかし、物品などの価格などから少額の差額が発生した。基本的には問題ない使用だと考えている。 (使用計画) 本年度と同様に物品やその他(遺伝子の解析費用など)に使用する予定である。
|