2017 Fiscal Year Research-status Report
BRCAを含む19遺伝子解析による卵巣癌個別化治療と発症ハイリスクグループの同定
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16K11133
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
関根 正幸 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70345502)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
榎本 隆之 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90283754)
吉原 弘祐 新潟大学, 医歯学系, 助教 (40547535)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 卵巣癌 / 遺伝性腫瘍 / BRCA遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
BRCA遺伝子変異が関与する遺伝性卵巣癌では、プラチナ製剤に対する感受性が高いこと、分子標的薬であるポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤が奏効することが分かっているものの、腫瘍の分子遺伝学的特徴に基づいた個別化医療は実用化されていないのが現状である。さらに、BRCA変異キャリアでの卵巣癌浸透率は20-40%と低く、発症者での発症年齢も様々であり、個々のキャリアで発症リスクが明らかに異なる。日本人の卵巣癌患者におけるBRCA遺伝子と関連遺伝子の変異率を算出し、卵巣癌患者に対する網羅的なBRCA遺伝子解析による個別化治療モデルを確立することを目的に研究を開始した。 本年度は以下の研究を継続した。 ①新潟大学と市内関連病院で治療を行った卵巣癌患者全例を対象に遺伝カウンセリングを行い、遺伝子検査の同意が得られた症例でBRCA1,2遺伝子解析を実施した。 ②上記卵巣癌患者の発症年齢・組織型、家族歴の有無等でBRCA1,2遺伝子異常の頻度解析を開始した。 ③JGOG(Japanese Gynecologic Oncology Group)の全国的研究である、「I- IV期の卵巣癌(卵管癌、原発性腹膜癌を含む)における相同組換え修復異常(Homologous recombination deficiency:HRD)の頻度を明らかにする研究」を立ち上げ、日本人の卵巣癌患者における各組織型のHRD陽性頻度、特に明細胞癌あるいは粘液性癌症例におけるHRD陽性患者のプラチナ感受性に関して解析を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3年計画の2年目として、新潟大学を中心とした新潟市内の卵巣がん症例全例を対象に遺伝カウンセリングを行い、今後コンパニオン診断となる予定のBRCA1,2遺伝子解析を臨床現場で実施する体制を整え、遺伝子解析を実施した。さらに手術時の腫瘍組織を用いて、相同組換え修復異常(Homologous recombination deficiency:HRD)の頻度を明らかにし、HRD異常の有無で予後を検討するシステムも確立したことで解析準備は整ったが、データ解析に着手しておらず若干の遅れがあると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
卵巣がん患者に対する網羅的なBRCA遺伝子解析により個別化治療モデルを確立すると同時に、BRCA遺伝子変異キャリアから乳がん卵巣がん発症のハイリスクグループを抽出して、新たな発症予防システムを構築することが本研究の大き な目標である。BRCA遺伝子と関連遺伝子の変異解析は、基本的に新規診断の卵巣がん症例を対象として解析を進めていく予定である。臨床的な予後解析では、相同組換え修復異常(Homologous recombination deficiency:HRD)関連遺伝子の変異陽性群と変異陰性群で、抗癌剤感受性と無増悪期間の比較を行い、本邦で初めてのBRCA遺伝子変異と予後に関する大規模な解析の礎を作る。さらに、プラチナ製剤など既存の抗がん剤およびポリADPリボースポリメラーゼ(PARP)阻害剤を中心として、変異陽性群に対する効果的な治療法を提唱することを目指す。
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Causes of Carryover |
(理由)実際の遺伝子解析に必要な物品費が当初の予想より少なかった。 (使用計画)当初予定通りの遺伝子解析を継続し、研究費を使用する予定である。
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