2016 Fiscal Year Research-status Report
エクソソームによる情報伝達により制御される子宮内膜症発症機構の解明
Project/Area Number |
16K11138
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
橋本 香映 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90612078)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 健二郎 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (00452392)
馬淵 誠士 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (00452441)
松本 有里 大阪大学, 医学部附属病院, 助教 (90756488)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 子宮内膜症 / 子宮内膜間質細胞 / エクソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
子宮内膜症の克服は女性のQOL改善に貢献するのみならず、労働損失・医療費軽減、少子化対策とも直結する重要な命題である。また生殖期女性の約10 %に存在するcommon diseaseであるにもかかわらず、その発症機序については諸説あり、いまだ定見を得ない。本研究では、細胞間情報伝達手段の1つとして注目されるエクソソームに着目し、子宮内膜症の成因を解明し、新規治療の開発に繋げることを目的とする。エクソソームは様々な細胞から分泌され、体液中を循環して離れた細胞間の情報伝達を行い、抗原提示、アポトーシス、血管新生、炎症などへの関与が指摘されており、子宮内膜症においても子宮内膜細胞と腹腔内微小環境を形成する周辺細胞がエクソソームを介して情報を伝達し、子宮内膜細胞が腹膜へと生着する環境を整えているのではないか考えられる。 本年度は内膜症症例と非内膜症症例の正所性子宮内膜からのエクソソームの抽出を試みた。手術時に採取した子宮内膜症症例とその他の良性疾患症例の子宮内膜より子宮内膜間質細胞を初代培養し、細胞上清から超遠心法を用いて子宮内膜間質細胞からエクソソームであると思われる小胞を回収した。回収した小胞がエクソソームであるかどうかはCD63及びCD81抗体を用いた免疫染色を行い電子顕微鏡で観察した。子宮内膜間質細胞からのエクソソームの回収プロトコールは確立できたが、子宮内膜間質細胞から得られるエクソソームの量は細胞への添加実験で用いるには不十分であったため、同様のプロトコールを用いて不死化子宮内膜間質細胞よりエクソソームを回収することとした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は手術にて摘出した子宮内膜組織より子宮内膜間質細胞を初代培養し、初代培養細胞からエクソソームを回収するプロトコールを確立した。すでに卵巣癌細胞細胞にて確立している超遠心を用いた方法にてエクソソームを回収下が、卵巣癌細胞に比べ回収できるエクソソームの量が少なかったこと、培養細胞数を増やしてエクソソームの回収量を増加させようと試みたが、初代培養細胞を大量に安定的に培養することは困難であった。そこで当初の計画でも予定していたようにhTERTを導入された不死化子宮内膜間質細胞の提供を受け、不死化細胞を用いての検討とすることとした。
|
Strategy for Future Research Activity |
不死化子宮内膜間質細胞は安定的に培養可能であるため、それを用いてエクソソームを回収し、回収したエクソソームを用いて腹膜中皮細胞及び腹腔内マクロファージに添加し、形態、貪食能、接着能及び浸潤能にどのような変化が生じるかを検討する。
|
Causes of Carryover |
本年度は子宮内膜間質細胞からのエクソソーム回収プロトコールの確立に多くの時間を要し、また初代培養細胞を得るための子宮内膜症サンプルが充分に用意できないために実験を推進できない期間も生じたため残金が発生した。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
不死化細胞を用いることで、当初計画に沿って研究を推進する予定であり、 本年度の残金は次年度の物品費に充てる予定である。
|