2018 Fiscal Year Research-status Report
妊娠初期の嚢胞化絨毛特異的分子マーカーの同定とその臨床的意義に関する研究
Project/Area Number |
16K11144
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
長谷川 ゆり 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (70627752)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 清徳 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 准教授 (00363490)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 全胞状奇胎 / 胞状奇胎特異的microRNA / DNA多型解析 / 分子マーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は平成29年度に引き続き検体集積、臨床データの蓄積および胞状奇胎特異的microRNAの発現解析を行った。平成29年度は嚢胞化絨毛疾患の血液検体と組織を一組として計6組を集積した。6例すべてに患者、配偶者および組織から抽出したDNAを用いてDNA多型解析を行った。6例のうち2例は病理診断では部分胞状奇胎であったが、DNA診断ではいずれの嚢胞化絨毛も雄性発生で、全胞状奇胎と診断された。従って、嚢胞化絨毛の診断と治療には病理学的検査に加え、DNA診断がきわめて重要であることが再確認された。また、これらの臨床応用の重要性についても確認できた。これらの6例について私どもが以前報告している胞状奇胎特異的microRNA(hsa-miR-520f, miR-520b, miR-520c-3p)の発現解析を定量的RT-PCR法を用いて行った。いずれの症例も治療経過の推移とともにその発現量は低下した。以上より、嚢胞化絨毛の管理診断には私どもが行っているDNA多型解析ならびに全胞状奇胎特異的microRNAの定量解析が臨床応用可能と期待される。 平成30年度は全胞状奇胎に加え、絨毛癌やmesencymal dysplasia、 placental site trophoblastic tumorの症例で胞状奇胎特異的microRNAの発現量を測定し、その鑑別可能な分子マーカーや再発予測マーカーを同定することを目標としてきたが、症例が不足しており、これらの分子マーカーの同定には至っていない。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
絨毛性疾患7種類のうち全胞状奇胎および部分胞状奇胎の患者血液、嚢胞化絨毛は目標とする検体数を得られた。しかしながら、侵入奇胎、絨毛癌、mesencymal dysplasia、 placental site trophoblastic tumorや存続絨毛症の検体数が不足している。そのため、アウトカムとして設定していたこれらの疾患を鑑別するマーカーや再発予測マーカーの同定には至らなかった。事業期間を延長することにより十分な検体を得て解析を進めたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は以下の研究を行う。 1. 検体集積:平成30年度に引き続き検体の集積を行う。特に絨毛癌、mesencymal dysplasia、 placental site trophoblastic tumorの症例を集積し、検体を採取する。診断は病理検査とともに平成30年度と同様にDNA多型解析を行い、正確な診断を行う。これらの絨毛性疾患患者の治療経過に伴い、適宜、患者から採血を行う。血液は遠心分離した後、血漿を凍結保存する。2. microRNA 抽出(長崎大学産婦人科学教室):平成30年度と同様に行う。3. 嚢胞化絨毛の組織検体における全胞状奇胎特異的microRNAの発現量をRT-PCR法を用いて定量する。実験方法は平成30年度と同様である(長崎大学産婦人科学教室)。4. 嚢胞化絨毛患者の血漿中発現量をRT-PCR法を用いて定量する。特に平成30年度に子宮内容除去術を行った嚢胞化絨毛患者について、治療中、もしくは経過観察中の患者血漿中microRNAの発現量を定量し、経時的変化を見る。実験方法は平成30年度と同様である(長崎大学産婦人科学教室)。5.データ解析:平成30年度と同様である。
|
Causes of Carryover |
絨毛性疾患のうち絨毛癌、mesencymal dysplasiaやplacental site trophoblastic tumorの症例が不足しており、これらを同定する分子マーカーを同定するための実験を行うことができなかった。そのため、試薬代等の費用を次年度に繰り越すこととなった。次年度はこれらの症例を集積し、胞状奇胎特異的microRNAを定量し、今まで解析した26例の胞状奇胎症例と比較することで絨毛癌、mesencymal dysplasiaやplacental site trophoblastic tumorを鑑別可能な分子マーカーや再発予測マーカーを同定する方針である。そのため、平成30年度に使用した試薬の再度購入、論文作成や投稿費用等に使用する予定である。
|
Research Products
(7 results)
-
[Journal Article] IFPA meeting 2018 workshop report I: Reproduction and placentation among ocean-living species; placental imaging; epigenetics and extracellular vesicles in pregnancy.2019
Author(s)
Acharya G, Bartolomei M, Carter AM, Chamley L, Cotton CF, Hasegawa J, Hasegawa Y, Hayakawa S, Kawaguchi M, Konwar C, Magawa S, Miura K, Nishi H, Salomon C, Sato K, Soejima H, Soma H, Sorensen A, Takahashi H, Tomita T, Whittington CM, Yuan V, O'Tierney-Ginn P.
-
Journal Title
Placenta
Volume: 18
Pages: 31201-31203
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-
-
-
-
-
-