2017 Fiscal Year Research-status Report
エピゲノム異常を標的とした子宮内膜癌の新たな診断・治療法の探索
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16K11154
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
阪埜 浩司 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (70265875)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | リンチ症候群 / 子宮内膜癌 / MMR遺伝子 / エピミューテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】これまでの国内外の研究から遺伝性の子宮内膜癌は、全子宮内膜癌の約5%を占めると言われている。遺伝性に子宮内膜癌が発症する最も有名な疾患はリンチ症候群であり、その原因はDNAミスマッチ修復遺伝子(hMLH1、hMSH2,hMSH6)の生殖細胞変異である。近年、生殖細胞におけるエピゲノム異常によるリンチ症候群の発症が報告され、注目されている。そこで今回、子宮内膜癌患者の末梢血DNA中のメチル化状態を解析し、子宮内膜癌高リスク群の抽出および化学予防への貢献を目指し研究を行った。 【方法】当科において子宮内膜癌と診断された患者から、書面による同意を得た上で末梢血を得た。末梢血からDNAを抽出し、MMR遺伝子(hMLH1, hMSH2, hMSH6)のプロモーター領域の異常メチル化をMSP法にて解析した。末梢血でMMR遺伝子の異常メチル化を認めた患者をエピミューテーション保因者として抽出し、その臨床像および頻度を解明した。異常メチル化を認めなかった患者をエピミューテーション非保因者とし、この中から対照群を選別した。 【結果・考察】子宮内膜癌患者106人より書面による同意を得た上で、末梢血を採取しDNAを抽出した。hMLH1, hMSH2, hMSH6のプロモーター領域の異常メチル化をMSP法にて解析した。106例全例で全ての遺伝子のメチル化解析は可能であったが、エピミューテーションは検出されなかった。そこで、この106例にリンチ症候群患者がいるかリンチ症候群のスクリーニングを行った結果、106例中2例がリンチ症候群と診断された。 本研究ではエピミューテーションが原因の遺伝性子宮内膜癌患者が同定できず、頻度および発癌メカニズムの解明には至らなかったが、今後、症例数を増やし検討したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた検体数は解析完了することができたが、予想よりエピミューテーション保因者の頻度が低く、今回の解析では保因者の同定に至らなかった。 よって、エピミューテーション保因者と非保因者の比較解析ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は申請通り、エピゲノム異常と治療効果との関連について検討する予定である。
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Causes of Carryover |
一部の試薬をキャンペーン期間中に購入したため、当初の予定より支出額が減った。 次年度使用額は、消耗品費(細胞培養試薬代)として速やかに使用予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Carcinoma of the lower uterine segment diagnosed with Lynch syndrome based on MSH6 germline mutation: A case report.2017
Author(s)
Adachi M, Banno K, Masuda K, Yanokura M, Iijima M, Takeda T, Kunitomi H, Kobayashi Y, Yamagami W, Hirasawa A, Kameyama K, Sugano K, Aoki D.
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Journal Title
J Obstet Gynaecol Res.
Volume: 43
Pages: 416-420
DOI
Peer Reviewed / Open Access