2017 Fiscal Year Research-status Report
子宮体癌における抗癌剤ホルモン剤感受性の制御機序―腫瘍免疫の観点から―
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16K11156
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
進 伸幸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 非常勤講師 (90206459)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 子宮体癌 / 妊孕性温存 / 黄体ホルモン療法 / 薬剤感受性試験 / ホルモン感受性 / 腫瘍免疫 / MMR酵素 / CD8 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者が所属する施設では、研究代表者は、手術標本からの検体採取・保存、臨床病理学的情報の収集・管理、MMR遺伝子産物・癌抑制遺伝子産物・シグナル伝達物系分子・ホルモンレセプター等に関する免疫組織化学、FISH法を用いたゲノム異常の探索、薬剤感受性試験などを担当している。 平成29年度だけでも新規の妊孕性温存治療を開始した若年体癌(G1/G2)・異型増殖症(AEHC)患者は15名に達し、合計298名となり、単一の組織ではこれを上回る治療例成績の報告は世界中にない。現在275例時点での成績をまとめ、国際学会で発表する抄録を投稿済みである(2018年9月のInternational Gynecological Cancer Societyで発表予定)。主な治療成績を以下に示す。治療後の経過観察が1年以上可能であった248例を対象に解析を行った。病変消失率はAEHC102例において96.5%、類内膜腺癌G1例142例において89.4%、G2例4例において100%であった。子宮内再発率は病変消失後5年にて、AEHC例55%、G1例83%、G2例75%であった。病変消失と再発に関与する臨床病理学的因子としては、多のう胞性卵巣、月経不整周期、hMLH1蛋白発言低下、Lynch症候群関連癌の家族集積性、治療終了時の内膜細胞診のFISH異常所見(1p、17pゲノム異常)が確認された。治療目的である妊孕性温存結果については、248例中76例において122回の妊娠が成立し、そのうち84名の生児が得られた。パートナーがいる症例においての妊娠率は48%であった。新生児分娩に至った後は、有意に子宮内再発率が低いこと、またG1またはG2例における分娩後再発率が有意にAEHCより高い(5年時で64% vs.41%)ことを、世界で初めて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は、国際医療福祉大学三田病院にH29年4月に着任した。そのため、H29年度は研究遂行にあたって今までとは環境が変わったことが多少影響し、研究遂行がやや遅れがちで、主に薬品、試薬購入を行うための使用額が減少した。しかしながら、臨床データの解析の方は着実に蓄積が進んでおり、MSI、腫瘍免疫の関連、薬剤・ホルモン剤感受性のマーカー検索に必要なデータは整備されつつある。豊富な臨床データをもとに、薬剤・ホルモン剤感受性のマーカー検索や予後因子たりうる分子の特定するための準備は整っている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は、国際医療福祉大学三田病院にH29年4月に着任した。そのため、H29年度は研究遂行にあたって今までとは多少環境が変わったことが影響し、研究遂行がやや遅れがちで、主に薬品、試薬購入を行うための使用額が減少した。しかしながら、慶應義塾大学医学部内には、現研究に必要な機材が既に設置されており、今までの研究データに加えて、同じ機器で引き続き症例数を増やして解析していく必要があるため、また研究資料も医学部内に保管されているため、研究最終年度のH30年は、慶應義塾大学医学部内で引き続き行っていく予定である。H29年度の1年間で、臨床データの解析の方は着実に進んでおり、MSI、腫瘍免疫の関連、薬剤・ホルモン剤感受性のマーカー検索に必要なデータは整備されている。豊富な臨床データをもとに、薬剤・ホルモン剤感受性のマーカー検索や予後因子たりうる分子の特定のための準備は整っている。 3年目にあたる本年度は、昨年度後半に行う予定であった手術検体を用いたMSIと腫瘍免疫の関連についての解析を進め、次いで、マーカーたりうる予後因子、薬剤感受性に関わる因子について、内膜細胞診・組織診検体での検索への応用を試みる予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者は、国際医療福祉大学三田病院にH29年4月に着任した。そのため、H29年度は研究遂行にあたって今までとは環境が変わったことが影響し、研究遂行がやや遅れがちで、主に薬品、試薬購入を行うための使用額が減少した。しかしながら、H29年度の1年間で、臨床データの解析の方は着実に進んでおり、MSI、腫瘍免疫の関連、薬剤・ホルモン剤感受性のマーカー検索に必要なデータは整備されている。豊富な臨床データをもとに、薬剤・ホルモン剤感受性のマーカー検索や予後因子たりうる分子の特定のための準備は整っており、次年度使用額を用いて、2年目後半に行う予定であった、手術検体を用いたMSIと腫瘍免疫の関連についての解析を急ぎ進める予定である。次いで、3年目研究予定である、マーカーたりうる予後因子、薬剤感受性に関わる因子について、内膜細胞診・組織診検体での検索への応用を試みる予定である。
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Research Products
(41 results)
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[Journal Article] 当科で経験した子宮頸部漿液性腺癌の2例2017
Author(s)
黒田由香, 仲村勝, 飯島朋子, 竹田貴, 吉政 佑之, 宮内安澄, 岩田 卓, 田中京子, 冨永英一郎, 進 伸幸, 田中 守, 青木大輔
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Journal Title
東京産科婦人科学会会誌
Volume: 66
Pages: 92~96
Peer Reviewed
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[Presentation] Post-pregnancy outcomes of young patients with endometrial cancer or atypical endometrial hyperplasia who received fertility-preserving hormonal therapy using medroxyprogesterone acetate.2017
Author(s)
Susumu N, Yamagami W, Hirano T, Makabe T, Sakai K, Chiyoda T, Nomura H, Kataoka F, Hirasawa A, Tominaga E, Banno K, Aoki D
Organizer
The 20th International meeting of the European Society of Gynaecologycal Oncology (ESGO)
Int'l Joint Research
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[Presentation] Polymorphisms of the genes ESR1, UGT2B17, and UGT1A1 associated with estrogen metabolism are not associated with osteoporosis in Japanese women after artificial menopause2017
Author(s)
Yokota M, Hirasawa A, Kazuya K, Akahane T, Sakai K, Makabe T, Horiba Y, Yamagami W, Ogawa M, Iwata T, Yanamoto S, Deshimaru R, Banno K, Susumu N, Aoki D
Organizer
6th Scientific Meeting of the Asia Pacific Menopause Federation
Int'l Joint Research
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[Presentation] The contribution of germline pathogenic variants of cancer susceptibility genes for primary ovarian, fallopian tube, and peritoneal cancers in Japanese2017
Author(s)
Hirasawa A, Issei I, Naruto T, Akahane T, Yamagami W, Nomura H, Masuda K, Susumu N, Tsuda H, Aoki D
Organizer
AACR 2017 Addressing Critical Questions in Ovarian Cancer Research and Treatment
Int'l Joint Research
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[Presentation] UGT1A1 polymorphism may be a prognostic indicator of stage I ovarian clear cell carcinoma patients treated with irinotecan2017
Author(s)
Yoshihama T, Hirasawa A, Nomura H, Akahane T, Nanki Y, Yamagami W, Kataoka F, Tominaga E, Susumu N, Mushiroda T, Aoki D
Organizer
15th International Congress of Therapeutic Drug Monitoring and Clinical Toxicology
Int'l Joint Research
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[Presentation] 大腸がんの家系内集積を認める若年性子宮体がん罹患者に対してパネル検査を実施しBRCA2変異が検出された一例2017
Author(s)
吉浜智子, 平沢 晃, 菅野康吉, 植木有紗, 赤羽智子, 真壁 健, 山上 亘 , 阪埜浩司, 進 伸幸, 牛尼美年子, 坂本裕美, 吉田輝彦, 小崎健次郎, 青木大輔
Organizer
第23回 日本家族性腫瘍学会
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[Presentation] 肥満を合併した若年子宮体癌患者に対する妊孕性温存ホルモン療法の検討2017
Author(s)
山上 亘, 進 伸幸, 平野卓朗, 真壁 健, 坂井健良, 二宮委美, 小林佑介, 野村弘行, 片岡史夫, 平沢 晃, 阪埜浩司, 青木大輔
Organizer
第55回 日本癌治療学会学術集会
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[Presentation] 宮体癌における頸部間質浸潤の深度に関する検討2017
Author(s)
真壁 健, 山上 亘, 平野卓朗, 坂井健良, 野村弘行, 片岡史夫, 平沢 晃, 冨永英一郎, 阪埜浩司, 進 伸幸, 青木大輔
Organizer
第59回 日本婦人科腫瘍学会学術講演会
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[Presentation] 腹腔鏡下骨盤リンパ節郭清後の有害事象の検討2017
Author(s)
早乙女啓子, 山上 亘, 平野卓朗, 南木佳子, 坂井健良, 真壁 健, 吉浜智子, 二宮委美, 千代田達幸, 林 茂徳, 野村弘行, 片岡史夫, 平沢 晃, 進 伸幸, 青木大輔
Organizer
第57回 日本産科婦人科内視鏡学会学術講演会
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[Presentation] 子宮体癌妊孕性温存療法 における筋層浸潤の評価に 子宮鏡下手術が有用であった5例2017
Author(s)
同前 愛, 山上 亘, 平野卓朗, 真壁 健, 坂井健良, 千代田達幸, 野村弘行, 片岡史夫, 平沢 晃, 進 伸幸, 青木大輔
Organizer
第40回 日本産婦人科手術学会
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[Presentation] 子宮体癌I/II期の再発リスクを有する群に対する CAP療法の至適サイクル数の検討2017
Author(s)
平野卓朗, 山上 亘, 真壁 健, 坂井健良, 二宮委美, 野村弘行, 片岡史夫, 平沢 晃, 冨永英一郎, 阪埜浩司, 進 伸幸, 青木大輔
Organizer
第59回 日本婦人科腫瘍学会学術講演会
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[Presentation] 子宮体癌センチネルリンパ節マッピングに基づくリンパ節郭清省略を目指 した症例の選択2017
Author(s)
平野卓朗, 山上 亘, 片岡史夫, 坂井健良, 真壁 健, 二宮委美, 野村 弘行, 田中京子, 阪埜浩司, 青木大輔, 中原 理紀, 亀山 香織, 進 伸幸
Organizer
第19回 SNNS研究会学術集会
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[Presentation] 子宮体癌および子宮内膜異型増殖症に対するMPA療法後の長期予後についての検討2017
Author(s)
平野卓朗, 山上 亘, 進 伸幸, 坂井健良, 真壁 健, 二宮委美, 野村弘行, 片岡史夫, 平沢 晃, 阪埜浩司, 田中 守, 青木 大輔
Organizer
第69回 日本産科婦人科学会学術講演会
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[Presentation] 婦人科悪性腫瘍患者におけるD-dimer値による深部静脈血栓症/肺血栓塞栓症スクリーニングの検討2017
Author(s)
吉村拓馬, 山上 亘, 平野卓朗, 坂井健良, 真壁 健, 野村弘行, 片岡史夫, 平沢 晃, 冨永英一郎, 阪埜浩司, 進 伸幸, 青木大輔
Organizer
第59回 日本婦人科腫瘍学会学術講演会
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