2017 Fiscal Year Research-status Report
卵巣癌の横隔腹膜転移の病態とその予測因子,臨床的意義の解明
Project/Area Number |
16K11158
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
大城 久 自治医科大学, 医学部, 准教授 (60381513)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒田 雅彦 東京医科大学, 医学部, 准教授 (80251304)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 横隔膜 / リンパ管小孔 / lymphatic stomata / 腹膜 / 走査型電子顕微鏡 / 漿膜 / 中皮細胞 / 機能超微形態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト横隔腹膜のリンパ管小孔の解剖学的分布や小孔径、左右差については良く調べられていない。これらの特徴を知ることは、癌の横隔腹膜転移や癌性腹水貯留の機序を解明する上で重要と考えられる。従って、本年度はヒト横隔腹膜のリンパ管小孔の解剖学的特徴を調べた。 死後4時間以内に病理解剖が行われ、癌の横隔腹膜転移や明らかな腹膜炎のない3例が対象に選ばれた。症例は全て男性で、年齢幅は43-70歳であった。剖検時、横隔腹膜を傷つけないように右側と左側から採取し、グルタルアルデヒドで固定した後、走査型電子顕微鏡を用いて腹膜表面を観察した。観察範囲はランダムに選ばれた1 平方ミリメートル領域とし、観察倍率2000倍で連続的にデジタル顕微鏡写真を撮影し、分布密度や小孔最大径を計測した。 右側、左側のいずれにおいても横隔腹膜表面にリンパ管内皮細胞で縁取られた小孔が観察された。横隔腹膜右側では、リンパ管小孔の分布密度は162-352個/平方ミリメートルで、小孔径の中央値は3.97-4.09マイクロメートル(最小値0.77、最大値 26.33)であった。横隔腹膜左側では、リンパ管小孔の分布密度は86-383個/平方ミリメートルで、小孔径の中央値は4.05-4.46マイクロメートル(最小値0.73、最大値 25.52)であった。なお、分布密度や小孔径に左右差は見出されなかった(対応サンプルによるWilcoxonの符号付き順位検定:P = 0.593; P = 0.655)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒト横隔腹膜のリンパ管小孔の解剖学的分布や小孔径、左右差の有無について知ることができた。これらの知見は、癌の横隔腹膜転移や癌性腹水貯留の機序を解明する上で重要と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は卵巣癌の横隔腹膜転移の病態とその予測因子,臨床的意義の解明にむけて、卵巣癌の臨床検体を用いて解析を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
(次年度使用額が生じた理由) 本年度内の物品購入が研究当初の予定よりも少なかったことや、投稿した論文の雑誌掲載費やカラー印刷代の請求が本年度中にこなかったこと等が主な理由と考えられる。 (使用計画) 次年度で必要な物品・消耗品の購入費、研究協力者への謝金、論文の投稿・掲載・カラー印刷代等に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)