2017 Fiscal Year Research-status Report
加齢性難聴になりにくいマウスを用いた感音難聴発症機序の解明と予防法の開発
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16K11170
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 淳 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (80735895)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲田 仁 東北大学, 医学系研究科, 講師 (60419893)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Fabp7 / Cdh23 / Fat-1 / 難聴 / ω-3脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
Fabp7ノックアウトマウス(C57BL6J系統)の表現型が、バッククロスを経ても残った近傍遺伝子Cdh23のSNPに依存する可能性が出たため、Cdh23のgenotyping/sequencingを施行した。Fabp7ノックアウトマウスはCdh23753G/753Gのgenotypeであり、ノックアウトマウスを作成する際に使用した129系統のCdh23遺伝子を引き継いでいると考えられた(通常のC57BL6J系統はCdh23753A/753Aとなる)。C57BL6J系統の加齢性難聴の主な原因はCdh23遺伝子の異常とされており、Fabp7のin vivo実験については動物モデルの変更を検討することになった。in vitroの実験に関して、Cdh23遺伝子が新生仔アストロサイト初代培養細胞では発現していないことをPCRで確認した。Fabp7ノックアウトマウス由来と野生型由来の初代培養細胞について、ミトコンドリア機能の解析を継続して行った。 Fabp7はDHAなどのω-3脂肪酸の細胞内輸送や代謝に関与する。ω-3脂肪酸と加齢性難聴との関係を検討するため、遺伝学的にω-3脂肪酸が体内に豊富に存在するω-3脂肪酸変換酵素Fat-1の遺伝子改変マウスの聴覚機能の解析を行った。Fat-1マウスでは、13ヶ月齢の時点で加齢性難聴の進行が野生型に比較して遅くなるという結果を得た。昨年度に引き続き、騒音曝露(曝露音圧の条件設定)や蝸牛組織解析(免疫染色)など、内有毛細胞シナプス障害を評価するための実験系の確立を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Fabp7ノックアウトマウスが正常のCdh23遺伝子を有することが判明し、in vivoでの実験動物モデルを再検討する必要が出たため。
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Strategy for Future Research Activity |
Cdh23遺伝子はアストロサイト初代培養細胞では発現していないことが確認できたので、in vitroの実験を継続し、Fabp7と抗酸化能の関連性の検討を継続する予定である。 ω-3脂肪酸と加齢性難聴との関係を検討するため、Fat-1マウスの聴覚機能の解析を継続する予定である。 Fabp7の加齢性難聴に対する影響を調べるために、CRISPRなどの遺伝子改変技術を用いて新たに実験動物を作成する事を検討している。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究代表者の異動により、実験全体の進捗に遅れが出た。また、動物実験モデルを再検討すべき状態となったため、予定していた試薬・機材の購入を次年度に繰り越した。 (使用計画) 新たな遺伝子組み換え動物の作成、in vitroの実験の継続、Fat-1マウスを用いた実験に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)