2018 Fiscal Year Research-status Report
外有毛細胞シナプスにおけるグルタミン酸受容体の局在の同定と難聴発症機序の解明
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16K11174
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
藤川 太郎 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (60401402)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川島 慶之 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (10376759)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 加齢性難聴 / グルタミン酸受容体 / デルタ型受容体 / 有毛細胞シナプス / 機能代償 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はグルタミン酸受容体の蝸牛有毛細胞での局在と機能を明らかにすることである。デルタ型受容体のサブタイプのデルタ1受容体(GluD1)は小脳と内耳に強く発現し、GluD1欠損マウスは高音障害型難聴を示すことが知られている。また共同研究先である慶應義塾大学生理学教室での研究から、デルタ型受容体がCbln1と共役してシナプスの形成と維持に寄与していることがわかっている。 我々はGluD1欠損マウスの聴力の変化を経時的に観察した。その結果、月齢3か月から高音域より聴力の閾値の上昇が始まり、ホモは有意に難聴の進行が速いことが分かった。また外有毛細胞の機能を反映するDPOAEもホモは急速な低下を示し、月齢7か月でほぼ消失した。 有毛細胞における局在を調べるためにGluD1の共役の相手であるCbln1の解析を行った。Cbln1にHA tagをした遺伝子改変マウスで外有毛細胞遠心性シナプスに局在を確認した。さらにGluD1の機能不全による遠心性シナプスの形態の変化を調べた。その結果、ホモで有意に有毛細胞1個当たりの数が減少するが、個々のシナプスの面積は増大を認めた。しかしその変化は予想に反して軽微なものであり、透過型電子顕微鏡による観察でも、有意な変化を確認できなかった。 これらの結果から、GluD1の欠損によって何らかの代償作用が働いているのではないかと考え、同じサブタイプのGluD2の蝸牛での発現量をRT-PCRで定量した。その結果、ホモでGluD2の発現が有意に増加していることが確認された。 以上より、GluD1は外有毛細胞の遠心性シナプスの形成と維持にかかわり、内耳機能において重要なはたらきを有することが示唆された。また内耳においてGluD1とGluD2が相補的な関係である可能性が示唆された。この成果は2019年2月のARO学会(ボルチモア)で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GluD1欠損マウスとCbln1タグマウスを用いることで、GluD1の内耳における機能と局在を明らかにすることができた。またGluD1の機能をGluD2がある程度代償している可能性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Cbln1欠損マウスがGluD1欠損マウスで観察された表現型を再現できるかを調べたい。またGlluD1自体の局在を明らかにしたい。対応策としては、慶応義塾大学生理学教室が保有するCbln1欠損マウスを導入する。GluD1の局在については、現在新たな染色条件を検討中である。あるいはGluD1タグマウスを作成する。
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Causes of Carryover |
昨年度報告した通り、進捗がやや遅れたため、19年度まで研究期間の延長をお願いした。研究遂行および完了に支障はないと思われるが、必要な研究費を19年度に持ち越しとした。19年度は先に記載した通り、研究結果を補強するためのデータ集めに専念する。
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