2017 Fiscal Year Research-status Report
内耳における組織マクロファージの役割とCsf1r伝達系による制御
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16K11178
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡野 高之 京都大学, 医学研究科, 助教 (60642931)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 典生 京都大学, 医学研究科, 講師 (70378644)
田浦 晶子 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 臨床研究企画運営部, 研究員 (70515345)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 発生 / 組織マクロファージ / 聴覚 / 蝸牛 |
Outline of Annual Research Achievements |
マクロファージの産生は胎生9.5日ころに卵黄嚢で産生が始まることが知られていたが、これまで蝸牛におけるマクロファージの出現時期についての報告はない。ICRマウスを用いて、一般的なマクロファージのマーカーであるCD68、Iba1、F4/80に対する免疫染色により、胎生9.5日から出生後3日までのマウスの蝸牛に存在する組織マクロファージを標識し、その出現時期や蝸牛内での分布を調べた。その結果、蝸牛の組織マクロファージは内耳の原基である耳胞周囲において、胎生10.5日頃に出現し、その後蝸牛形態が発達するにつれて蝸牛内の各部位(ラセン靭帯やらせん神経節、血管条など)に広く分布していくことが分かった。また、preliminaryなデータではあるが、蝸牛各所に分布するこれらの組織マクロファージは、耳胞周囲への出現当初はいずれも球状の形態を呈するが、胎生期から新生児期へと移行するにつれて、球状のみならず菱形や、突起を伸ばしたような形など、様々な形態を呈することも確認された。 組織マクロファージは、胎生期に組織内に移入したのちに、局所で緩徐に細胞分裂を行い、定常状態を維持していると考えられている。胎生期マウス内耳の組織マクロファージの細胞分裂に関しては1%未満ではあったが、細胞周期のマーカーであるKi67や細胞周期M期に特異的なphospho-Histone H3に陽性を示す細胞が認められた。この結果により、マウス内耳の組織マクロファージも緩徐に細胞分裂を局所で行っていることが示唆された。 現在は遺伝子改変マウスを用いて、蝸牛の組織マクロファージの役割や聴覚の発達・成熟における役割を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝子改変マウスのgenotypingに混乱が生じて、マウスの繁殖に予定より時間がかかっている
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Strategy for Future Research Activity |
計画書の通り、遺伝子改変マウスの解析を進めていく。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウスの繁殖が予定より遅れており、その結果、解析に要する費用を次年度に繰り越した。遺伝子改変マウスの繁殖、系統維持、分子生物学的および組織学的な解析に使用する予定である。
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