2019 Fiscal Year Annual Research Report
Spatio-temporal change of Atoh1 expression in developing cochlear prosensory epithelium visualized by 3D real-time imaging.
Project/Area Number |
16K11179
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
楯谷 智子 京都先端科学大学, 健康医療学部, 准教授 (10512311)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 有毛細胞 / 蝸牛感覚上皮 / Atoh1 / タイムラプスイメージング / 蝸牛感覚上皮予定領域 / 蝸牛 / 発生・分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
治療法のない難聴の殆どが蝸牛有毛細胞の障害を原因とすることから、聴覚再生に向けた研究の多くが有毛細胞の再生を目的としてきた。蝸牛の内有毛細胞と外有毛細胞は機能も異なり、内有毛細胞が聴覚情報を中枢に伝え、外有毛細胞は聴覚情報の増幅器として機能する。蝸牛の有毛細胞は、機能的に分化し高度の規則性をもって配列する細胞であるだけに、それをin vitroで作り出すことは現時点では困難であり、聴覚再生研究における次なるマイルストーンとも言える。本研究の目的は、内有毛細胞と外有毛細胞の分化メカニズムを解明し、さらなる聴覚再生研究に寄与することである。 哺乳類の蝸牛上皮において、聴覚細胞である有毛細胞とその周囲の支持細胞は、共通の前駆細胞から分化するとされている。有毛細胞と支持細胞からなる蝸牛感覚上皮(コルチ器)の原基は、胎生期蝸牛上皮内の前駆細胞集団(感覚上皮予定領域)であり、これらの細胞の中でいかにして有毛細胞となるべき細胞が選ばれ、蝸牛特有の規則的な配列を形成していくか、その過程は短時間で起こるために固定標本を用いたこれまでの研究では明らかにすることができなかった。 本研究では、前駆細胞、有毛細胞、支持細胞のそれぞれを蛍光標識できるレポーターマウスを用い、3次元リアルタイムイメージングによって前駆細胞集団を観察し、有毛細胞と支持細胞への分化を示す蛍光の時空間的発現を観察した。次いで、得られた経時的3次元画像データを分析し、個別の細胞の軌跡と蛍光強度の変化を追跡することによって、前駆細胞から有毛細胞への運命決定と配列形成の過程を初めて明らかにした。さらに、前駆細胞集団の周囲にあって時空間的に変化するヘッジホッグシグナル伝達系とBmp4シグナル伝達系が、内有毛細胞列と外有毛細胞のパターン形成を制御していることを示した。 これらの研究成果は査読付き英文科学雑誌(Development)に掲載された。
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Research Products
(5 results)