2016 Fiscal Year Research-status Report
慢性中耳炎における制御性T細胞の免疫寛容化機序の解析
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16K11187
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
平野 隆 大分大学, 医学部, 講師 (20305056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川野 利明 大分大学, 医学部, 助教 (30633424)
鈴木 正志 大分大学, 医学部, 教授 (60211314)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 慢性中耳炎 / 制御性T細胞 / インフルエンザ菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々はインフルエンザ菌による中耳炎症病態を中心に解析を行っており、特に耳管閉塞によるインフルエンザ菌による慢性中耳感染マウスモデルを作成した。慢性炎症期に免疫寛容に関するCD4+CD25+T細胞が中耳粘膜に集簇し、その多くのT細胞においてFoxP3陽性であり、制御性T細胞が慢性持続感染に何らかの役割をはたしていることが推測される事を報告した。外来微生物に対する生体防御機構は、好中球の活性化による貪食作用を中心とした自然免疫や、B細胞の活性化に伴う獲得免疫といった2つの防御機構が関与しているが、今回、制御性T細胞が獲得免疫防御機構に与える影響について検討した。SPF下にて飼育した、雄性、Balb/cマウス5週令より脾臓を採取し、steer meshを用いて単核球を採取した。磁気細胞分離装置を用いて、CD4+CD25+T細胞およびCD4+CD25-T細胞を分離した。インフルエンザ菌由来外膜蛋白(OMP)にて経鼻投与を行い粘膜免疫賦活化したマウス鼻粘膜からリンパ球を遠心分離した細胞とD4+CD25+T細胞、CD4+CD25-T細胞と共培養した。リンパ球のみの単培養を対症とした。培養後24時間、72時間目に培養液中のIgA産生について検討を行なった。経時的にIgAの産生は増加しており、CD4+CD25+T細胞共培養においては、CD4+CD25-T細胞、および対症群と比較して産生量が抑制されていた。制御性T細胞によるOMPに対する鼻粘膜中の抗体産生細胞に対する獲得免疫応答の減弱が予想された。制御性T細胞は獲得免疫系に対しても抑制的に作用し、慢性持続感染を助長している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CD4+CD25+T細胞共培養においては、CD4+CD25-T細胞、および対症群と比較して産生量が抑制されており、制御性T細胞による鼻粘膜中の抗体産生細胞に対する獲得免疫応答の減弱が判明したため、制御性T細胞の慢性感染tの関与が示されており、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
脾臓もしくは大腿骨から採取した単核球より、CD4+CD25+細胞をMACSにて分離し、同時にLy-6G(好中球)、もしくはCD11b(マクロファージ)陽性細胞も分離採取し、インフルエンザ菌と共培養を行い、実際の培養液の生菌数について計測する。また、得られた上清中のMPO活性を測定し、好中球のインフルエンザ菌に対する細胞性免疫応答について検討する。同様の検討をCD11c陽性細胞についても行う。また、得られた上清中の炎症性および抑制性サイトカイン濃度についてもBioplexによるサイトカイン関連assayを行う。
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Causes of Carryover |
論文文献収集と抗体購入などの物品費として申請していたが、予想よりも抗体などの購入費が安価であり、また論文収集においても予想よりも少なく済んだため、35620円を次年度の繰り越しとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費や論文作成および論文校正に使用いたします。
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Research Products
(1 results)