2018 Fiscal Year Research-status Report
オーディトリーニューロパチーに対する再生治療の実現を指向した聴神経分化機構の解明
Project/Area Number |
16K11193
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
下村 敦司 北海道医療大学, リハビリテーション科学部, 教授 (50340237)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 亨 北海道医療大学, 健康科学研究所, 教授 (10223835)
向後 晶子 群馬大学, 大学院医学系研究科, 講師 (20340242)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ES細胞 / Tlx3 / 聴神経様細胞 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
オーディトリーニューロパチーに起因する感音難聴の再生治療の実用を目指し、ホメオボックス型転写因子Tlx3を発現させた間葉系幹細胞から聴神経様細胞を分化誘導させる方法を報告した。しかし、この方法では分化効率が低く、それが再生治療法開発を進めるうえで問題となっている。Tlx3がクロマチンのアセチル化修飾を介して、胚性幹細胞(ES細胞)から聴神経様細胞への分化運命の決定を行うことを明らかにした。 本研究計画では、分化誘導効率の改善を目指し、Tlx3強制発現ES細胞から聴神経様細胞の分化過程において、Tlx3がどのようにクロマチンのアセチル化パターンを変えるのか、その結果、遺伝子発現にどのような影響を及ぼすのかを明らかにすることである。これまで、Tlx3強制発現ES細胞の遺伝子発現パターンをコントロールES細胞(Tlx3を強制発現していない細胞)と比較し、Tlx3により発現が有意に変化する遺伝子を網羅的に調べた。Tlx3強制発現により発現が上昇した遺伝子が311、逆に発現が下がった遺伝子が113であった。これら変動した遺伝子の中に、聴神経分化において鍵となる遺伝子が含まれる可能性が高い。そこで、平成30年は主に、分化への関与の可能性が高い遺伝子の絞り込みを開始した。具体的には、今回得られたデーターからGO解析およびPathway解析、および遺伝子(因子)の発現および局在データベースを用い、遺伝子候補の絞り込みを行った。クロマチンを構成するヒストンのアセチル化修飾は、クロマチン構造変換を引き起こし、結果として遺伝子の転写活性を調節している。そこで、分化に関与すると考えられ候補遺伝子について、その遺伝子領域のアセチル化修飾パターンを解析すべく、Chipアッセイを開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年度、実験材料となる細胞培養の条件の検討を行った。これに伴い研究計画時期の見直しを行い、これが平成30年度の進捗に影響した。さらに、網羅的解析により得られた遺伝子数が多く、分化に関わる候補遺伝子の絞り込みに時間を要したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】でも述べたように研究計画は遅れている。さらなる結果解析にまだ時間がかかりそうではある。引き続き、解析を専門にしている研究分担者のサポートを得ながら、解析時間の短縮に努める。
|
Causes of Carryover |
平成28年度に研究計画時期の見直しを行い、さらに網羅的解析の結果が多く、その解析に時間がかかっている。これらが以降の研究の遅れとなり、結果として次年度の使用額が生じた。 令和元年度は、平成30年度に予定した研究を実施すると共に、得られた結果をまとめ成果として発表する予定である。これらに助成金を使用する予定である。
|