2016 Fiscal Year Research-status Report
複合音ABR(cABR)における時間分解能から見た難聴病態解明と次世代補聴器開発
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16K11196
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岡本 康秀 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 客員講師 (10317224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
入野 俊夫 和歌山大学, システム工学部, 教授 (20346331)
神崎 晶 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50286556)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 聴性脳幹反応 / 時間分解能 / 感音難聴 / 語音明瞭度 / 周波数選択性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今回の研究では、入力音を音声・複合音とすることで、音声刺激そのものの脳幹での反応を得るように測定法を確立することをテーマとして開始した。これまでのABRはクリック音での測定であったが、複合音での脳幹反応をみるために当初の予定では、刺激音を/da/とし、刺激回数を6000回とする予定で開始した。しかし実際に測定してみるとこの測定法では難聴者での脳幹反応が非常に取りにくいことが分かった。そのため、当初の検討でもあったように入力音(刺激音)を様々に変化させ、その脳幹反応から臨床に応用出来うる入力音と検査機器の開発を目的とすることにした。 2016年度は、複合音ABR(cABR)の測定条件・環境を整えることを中心に行った。提示する変調音に対しては変調音の周波数、キャリアーとしてのノイズを決定するために種々の変調音を用いてABR測定を行った。その結果実際測定に際してアーチファクトの少ない提示変調音を見いだすことができた。これまでの研究で心理物理的手法で変調音の認知つまり時間分解能の測定を行ってきたが、それらの結果を踏まえて心理実験の結果とABRによる他覚的検査との比較ができる測定条件を決定することができた。 一方提示音に対する蝸牛内遅延を考慮に入れてのABR電位を有意にとれる方法も見いだすことができた。この結果はAssociation for Research in Otolaryngologyにおける40th Annual MidWinter Meetingでも発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度達成すべき複合音ABR測定における実験体系がおおむね整った。 特に変調周波数の範囲や提示するノイズの選定などアーチファクトを取り除いた状況・環境設定を準備することがほぼできるところまでできた。 しかし暗所での覚醒下のABR測定に対して、検査中に眠気を来すため、何らかの対策が必要で、これら改善点を見いだすことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度のcABR実験システムを用いて、正常聴力者および難聴者に対して実際に被験者を募って測定を行っていく。これまでの研究で心理物理実験として時間分解能を測定するTMTFおよびGDTの結果を得ているが、今回他覚的検査が可能かを調査すべく、cABRの測定結果とTMTFおよびGDTの結果を比較検討してことばのききとり能力を他覚的に評価可能か実験を進める。また、昨年度検査上の改善点に対しての対策も取っていく。
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Causes of Carryover |
2016年度にABR測定装置を作成する予定であったが、一部刺激音や刺激条件の変更があったために一部購入を変更し来年度に持ち越した装置がありました。特に暗所でのABR測定に際して覚醒を維持するための対策を検討し、2017年度の予算で検査機器の見直しを行う予定です。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たに音声刺激環境を暗視下で行うための眼球運動測定機器や、暗室でのABR測定を、覚醒下で取るための被験者用ビデオシステムの構築に用いる予定である。
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Research Products
(8 results)