2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11197
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大石 直樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (10348740)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤岡 正人 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (70398626)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 小胞体ストレス / 蝸牛 / コルチ器 / ラセン神経節細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
感音難聴は未だ有効な治療法に乏しく、病態生理の解明と有効な治療戦略の確立が急務である。これまでのモデル動物や臨床試験から、一部の難聴の発症機序に酸化ストレスが関与することが明らかとなっているが、抗酸化剤antioxidantによる治療効果は動物実験レベルですら十分でない。そのため酸化ストレス以外の病態生理も難聴の発症に関与している可能性が考えられる。小胞体ストレスは異常タンパクが小胞体に蓄積することで細胞死を引き起こす致死的ストレスの一種であり、内耳性難聴の病態生理に関与している可能性が考えられるが、いままでに十分な検討がなされていない。そこで本研究では、蝸牛培養細胞の細胞死における、小胞体ストレスの関与を明らかにすることを目的としている。 まず初年度において、蝸牛由来細胞培養系を確立すべく、当研究室で維持しているMath1-nGFPマウスを用い、生後2-3日の同マウスからコルチ器およびラセン神経節細胞を摘出した。そして現在の施設環境における最適の培養条件を決定させるため、様々な培養条件を試みて最適の条件の決定を目指した。Math1-nGFPマウスは当研究室にて確立したマウスであり、有毛細胞の核がEGFPにより蛍光を有することから、細胞死のリアルタイムモニタリングを行うことができる。 培養条件の決定後、小胞体ストレスを惹起する薬剤として広く用いられているtunicamycinを蝸牛細胞培養系へ投与し、細胞死の有無を観察した。薬剤濃度依存性に細胞死が生じることが確認でき、経時的変化について詳細に観察検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
想定していたよりもまず用いたマウスの系統にて生後2-3日のマウスを得るのに時間がかかり、培養の最適条件を決定するまでに比較的多くの時間を要した。そして薬剤投与による細胞死の観察に進んだが、幅広い薬剤濃度の投与を試したため、その容量依存性の時系列カーブを得るのにも想定よりも多くの時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は基本的条件の設定に時間を要したが、条件がようやく定まったため、今後は予定していた実験を着実に進めるように心掛けたい。
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Causes of Carryover |
想定よりも実験の進行が遅かったため、消耗品などの支出額が少なく、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験の遂行に伴って、消耗品などの支出が自然と増えることが想定される。
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