2017 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学を応用した下丘聴覚神経路の音情報処理回路の解析
Project/Area Number |
16K11200
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
小野 宗範 金沢医科大学, 医学部, 講師 (30422942)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 哲史 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (90334812)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 覚醒動物からの電気生理学的記録 / 光遺伝学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、本研究に関連して麻酔下のマウス下丘の抑制性および興奮性ニューロンの音応答記録のデータに基づいた論文を発表した(Ono et al., The Journal of Neuroscience, 2017)。加えて、前年度に行った覚醒マウスの下丘神経細胞からの電気生理学的記録システム構築のための手法をまとめ、論文投稿し出版承認を受けた(Ono et al., Journal of Visualized Experiments, in press)。 また、前年度から本年度にかけて記録した覚醒動物からの中脳抑制性および興奮性ニューロンの活動性の解析を行った。その結果覚醒動物においては、1)ニューロンの自発活動性が麻酔下に比べて10倍程度高いこと、2)抑制性ニューロンの自発活動性は、興奮性ニューロンに比べて2倍程度高いこと、3)自発活動性は様々な時間特性を持ち、多くの細胞においてバースト状の発火が散発して見られること、などが明らかとなった。これらの結果から、下丘の抑制性ニューロンおよび興奮性ニューロンは異なる特性の神経回路を形成していることが示唆された。また興奮性ニューロンにおいては、自発活動が低く抑えられることでSN比が高く保たれている可能性も示唆された。これらの結果については2018年度の生理学会大会において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り本年度は本研究に関連して論文発表を行うことができた。また、本年度までの研究により、すでに多数の抑制性ニューロン(n = 100)および興奮性ニューロン(n = 45)からの記録を得ることができたことに加えて、電気生理学データの解析方法についても確立することができた。これらの経過から期間内に記録解析を完了し発表することができると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、自発活動の解析に加えて、音応答性の解析、形態的特性の解析を進める。また、これまでの解析から当初予測していなかった1)自発活動性の抑制性ニューロンと興奮性ニューロンの間で大きく違う、2)自発的バースト発火の存在、という興味深い結果を得ることができたことから、このような活動特性を生み出す神経回路メカニズムについても研究を進めたいと考えている。具体的にはa. in vivo ホールセルパッチクランプ法による膜電位特性の解析、b. 改変狂犬病ウイルスベクターを用いた単細胞トレースによる、抑制性および興奮性ニューロンの形成する神経回路網の解析 c. バースト発火と局所フィールド電位との間の関係性の解析 を行うことを予定している。
|
Causes of Carryover |
理由:実際購入した試薬・消耗品等の購入額が、予定予算額を下回った。 使用計画:繰り越された予算を、試薬・消耗品等の購入に充てる予定である。
|
Research Products
(6 results)