2018 Fiscal Year Research-status Report
光遺伝学を応用した下丘聴覚神経路の音情報処理回路の解析
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16K11200
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
小野 宗範 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (30422942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 哲史 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (90334812)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 下丘 / 光遺伝学 / 興奮性/抑制性ニューロン / 電気生理学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、覚醒マウスの下丘神経細胞からの電気生理学的記録システム構築のための手法をまとめ、論文発表した(Ono et al., Journal of Visualized Experiments, 2018)。また、これまでの研究結果から下丘の抑制性神経回路についての総説を発表した(Ono and Ito, Journal of Experimental Neuroscience, 2018)。加えて脳幹聴覚神経回路に関する著書(The Oxford handbook of the Auditory Brainstem)の下丘に関する章(Neuron Types, Intrinsic Circuits, and Plasticity in the Inferior Colliculus)を分担執筆した。 これまでの実験結果から、覚醒動物においては、1)ニューロンの自発活動性が麻酔下に比べて10倍程度高いこと、2)抑制性ニューロンの自発活動性は、興奮性ニューロンに比べて2倍程度高いこと、3)自発活動性は様々な時間特性を持ち、多くの細胞においてバースト状の発火が散発して見られること、などが明らかとなっていた。さらに本年度は内耳損傷モデル動物を作成することで興奮性および抑制性ニューロンの自発的活動バランスが聴力レベルによって変化することが明らかとなった。これらの結果から、下丘での興奮性および抑制性ニューロンの活動レベルは下位からの入力依存性に可塑的に変化する可能性が示唆された。これらの結果は第9回アジアオセアニア生理学会にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述の通り本年度は本研究に関連して論文発表を行うことができた。また本研究において確立した技術を用いて下丘の興奮性および抑制性ニューロンの活動様態を明らかにすることができた。またそれらの細胞の活動バランスが入力依存的であるという当初の想定していなかった興味深い結果を得ることができた。ただし当初予定していた形態学的解析については遅れているために概ね順調に進展している、とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は興奮性および抑制性ニューロンの活動バランスを決定するメカニズムを研究する予定である。そのために聴力レベルの変化による①電気膜特性②細胞形態③遺伝子発現について精査する。①に関してはin vivoでの細胞内記録を計画している。②については化学トレーサーおよびウイルストレーサーを用いることを予定している。③についてはRNA-seq解析により聴力レベルに対応して変化する遺伝子発現変化を精査することを予定している。
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Causes of Carryover |
計画段階での見積もり額と購入時の金額との間に差が生じたため。次年度使用額は薬品類の購入に充てる。
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Research Products
(8 results)