2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11203
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
鈴木 秀明 産業医科大学, 医学部, 教授 (20187751)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大淵 豊明 産業医科大学, 医学部, 講師 (00412651)
小泉 弘樹 産業医科大学, 医学部, 助教 (70461572)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中耳粘膜 / 線毛運動 / 制御機構 / ムスカリン受容体 / ATP / Pannexin / Calcium / P2Xプリン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 平成28年に引き続き、採取した中耳粘膜をHank's 液に浸し、高速度デジタルビデオカメラHAS-U1(DITECT社製)で観察した。線毛運動は再現性良くATPやacetylcholineによって促進され、線毛運動速度は統計学的に有意に増加した。一方、muscarine受容体拮抗薬、pannexin-1 channel拮抗薬、P2X受容体拮抗薬などによる抑制試験の再現性はやや不良で、線毛運動が抑制される傾向が認められたものの、データのばらつきが比較的大きく、統計学的有意差には至らなかった。 2) ATP放出反応についても例数を増やし、その再現性を検証した。無刺激の状態に比べてacetylcholine刺激では、再現性良くATP放出量が増加した。一方、muscarine受容体拮抗薬、pannexin-1 channel拮抗薬、P2X受容体拮抗薬などによる抑制試験の再現性はやや不良で、ATP放出が抑制される傾向が認められたが、データのばらつきが比較的大きく、統計学的有意差には至らなかった。 3) 採取した中耳粘膜をparaformaldehydeで固定し、M1 muscarine受容体、M3 muscarine受容体、pannexin-1 channel、P2X7プリン受容体の発現、局在を蛍光免疫組織染色法で調べた。いずれも主に上皮細胞に発現しており、M3はM1に比べて強く発現していた。 4) 採取した中耳粘膜からacid guanidiniumthiocyanate-phenol-chloroform法によりRNAを抽出し、M1 muscarine受容体、M3 muscarine受容体、pannexin-1 channel、P2X7プリン受容体についてリアルタイムRT-PCR法を行った。その結果、いずれのmRNAも発現していることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
拮抗薬による線毛運動速度やATP放出量の抑制試験については、再現性がやや不良で統計学的有意差に至っておらず、例数を増やして追試する必要がある。 蛍光免疫組織染色とRT-PCRによるM1 muscarine受容体、M3 muscarine受容体、pannexin-1 channel、P2X7プリン受容体の検索については、概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
1) 拮抗薬による線毛運動速度やATP放出量の抑制試験について、例数を増やして追加試験を行い、再現性について確認する。 2) Western blot法により、中耳粘膜におけるRT-PCRによるM1 muscarine受容体、M3 muscarine受容体、pannexin-1 channel、P2X7プリン受容体の発現を蛋白質レベルで確認する。 3) 中耳粘膜を培養液中に浸して機械的に攪拌し、剥脱して遊離した線毛上皮細胞をwhole cellパッチクランプ法で調べる。これにより細胞膜上に存在する受容体やchannelの電気生理学的および薬理学的特性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
線毛運動速度とATP放出反応についての追加実験を行い、時間を費やしたため、蛍光免疫組織染色と定量的RT-PCRはターゲットを絞り込んで行った。すなわちmuscarine受容体は5つのサブタイプのうちの2つ(M1, M3)、P2Xプリン受容体は7つのサブタイプのうちの1つに(P2X7)について検討した。このため抗体やプライマー等の試薬購入費が抑えられた。検索していない他の受容体については平成30年度に実験を行う予定である。
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