2016 Fiscal Year Research-status Report
グルタミン酸イメージングによる加齢性難聴の病態解明
Project/Area Number |
16K11204
|
Research Institution | National Rehabilitation Center for Persons with Disabilities |
Principal Investigator |
鷹合 秀輝 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 感覚機能系障害研究部, 研究室長 (70401354)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 知子 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), 研究所 感覚機能系障害研究部, 流動研究員 (50731783)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 加齢性難聴 / グルタミン酸イメージング / 蝸牛 / 有毛細胞 / 蝸牛神経 / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の総人口に対しての65歳以上の高齢者人口は26%となり、今後も高齢者人口の増加が見込まれる。加齢に伴い加齢性難聴が生じるが、病態生理は十分に解明されていない。本研究では加齢性難聴モデルとしてC57BL/6JマウスおよびDBA2/Jマウスを用い、若齢群と加齢群に分けて内耳・内有毛細胞および外有毛細胞のシナプス伝達機能を細胞レベル(in vitro)で比較する。このために興奮性シナプスの神経伝達物質であるグルタミン酸に結合する蛍光プローブを活用して、内耳にある内・外有毛細胞と蝸牛神経間のシナプスを対象としてグルタミン酸の開口放出を可視化する。そして若齢群と加齢群の神経伝達物質放出様式を比較し、「加齢に伴い有毛細胞シナプスにおける神経伝達物質放出量が減少する」という仮説を検証して加齢性難聴の病態を解明する。 平成28年度の研究計画は、若齢マウス有毛細胞における神経伝達物質放出をグルタミン酸イメージングにより測定して正常聴力モデルにおけるシナプス機能を評価する、というものであった。 以下に平成28年度の研究成果を記す。1.若齢C57BL6/Jマウス(生後2週前後)の内耳・内有毛細胞を対象として、グルタミン酸蛍光プローブの最適化を行った。2.若齢C57BL6/Jマウス(生後2週前後)の内耳・内有毛細胞を対象として、シナプス伝達機能の指標となるカルシウム電流およびそれに膜容量変化の測定を行い、先行研究(Beutner & Moser T. J Neurosci. 21:4593-4599, 2001)と同様の結果を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
グルタミン酸蛍光プローブは内耳・有毛細胞と蝸牛神経に結合するものの、脱分極刺激に対する明確な応答が確認できていない。この原因として、①有毛細胞の活性に問題がある、②グルタミン酸蛍光プローブが十分に機能していない、等が考えられる。そこで、シナプス伝達機能の指標となるカルシウム電流および膜容量変化を測定したところ、先行研究(Beutner & Moser T. J Neurosci. 21:4593-4599, 2001)と同様の結果を得たため、①ではなく②が問題となっているという結論に至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、まずは若齢C57BL/6Jマウスを対象としてグルタミン酸蛍光プローブの最適化を進めていく。
|
Causes of Carryover |
実験動物を所属施設内の経費にて調達することができたため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験動物購入費、試薬購入費、学会出張費など。
|
Research Products
(3 results)