2017 Fiscal Year Research-status Report
全エクソーム解析による原発性線毛運動不全症の原因遺伝子の探索
Project/Area Number |
16K11210
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
竹内 万彦 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50206942)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北野 雅子 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (20378334)
藤澤 隆夫 独立行政法人国立病院機構三重病院(臨床研究部), 独立行政法人国立病院機構三重病院, 院長 (20511140)
中谷 中 三重大学, 医学部附属病院, 教授 (80237304)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 線毛 / 遺伝子変異 / 滲出性中耳炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
原発性線毛運動不全症の既知の32の原因遺伝子でパネルを作成し、本症が疑われる患者について変異を検討した。その結果、判明した変異は次の通りである。DNAH5については、c.894C>G(N298K、ミスセンス変異)、c.5367delT (N1790IfsX14、フレームシフト変異)、c.5563_5564insA (I1855NfsX6、フレームシフト変異)、c.5983C>T (R1995X、ナンセンス変異)、c.7550_7556delAGCTGCC (E2517GfsX52、フレームシフト変異)、c.7561_7573delCCAGCGGGGCCC (P2521GfsX46、フレームシフト変異)、c.9018C>T(スプライシング変異)、c. 9101delG(G3034VfsX23、フレームシフト変異)、c.13837delG(V4613X、ナンセンス変異)の変異が明らかとなった。また、CCDC40ではc.580-1G>C (スプライシング変異)と c.2527C>T (L843F)のミスセンス変異が、DNAI1ではc.1163G>A (C388Y)のミスセンス変異が、RSPH4Aではc.102T>G (Y34X)のナンセンス変異が明らかとなった。 また、本症における中耳病変を検討した。確定診断の得られた15名の患者で検討したところ、30側すべての鼓膜に異常を認めた。14名は滲出性中耳炎あるいはその後遺症の鼓膜所見を呈した。残る一名では慢性中耳炎を呈した。標準純音聴力検査の気導聴力レベルの平均は右25.0 dB 、左26.4 dBであり、良聴耳22.3 dB、非良聴耳29.0 dBであった。以上より本症の鼓膜は多彩な所見を呈し、これらを知っておくことが本症の発見につながると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
遺伝子パネルにより、DNAH5、CCDC40、DNAI1、RSPH4Aの遺伝子で変異を見出すことができた。とくにDNAH5においては多数の変異がみられ、この遺伝子が本症の原因遺伝子として最も頻度が高いことが判明した。また、本症における中耳病変の検討により、殆どの症例で滲出性中耳炎あるいはその後遺症の鼓膜所見を呈すること、難聴は一般に軽度であることが判明した。以上よりこの研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子パネルにより効率的に既知遺伝子の新規変異を見出すことができたので、さらに症例数を重ね、新たな新規変異を見つけていく予定である。しかし、新規遺伝子はまだ見つかっていない。このためにはパネルでは変異の見いだせていない症例で全エクソーム解析を行って、新規遺伝子の候補を見つけてゆく。
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Causes of Carryover |
(理由)当初の予定よりも試薬が低額であったため次年度使用額が生じた。 (計画)平成30年度に行う遺伝子変異の解析に使用する予定である。
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Research Products
(5 results)