2017 Fiscal Year Research-status Report
外傷性嗅覚障害に対する抗HMGB1抗体療法確立のための基礎研究
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16K11211
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
西田 幸平 三重大学, 医学部附属病院, 助教 (10456733)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 正佳 三重大学, 医学系研究科, 准教授 (80343218)
玉利 健悟 三重大学, 教養教育機構, 特任講師(教育担当) (90585176)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 鼻科学 / 嗅覚 / 再生医学 |
Outline of Annual Research Achievements |
抗HMGB1抗体による嗅神経再生促進を電気生理学的、行動学的実験により確認した。 電気生理学的検証は以下のように施行した。まず平成29年度と同様に、全身麻酔下で嗅神経切断手術と抗HMGB1抗体投与をOMP-tau-lacZマウスに施行し、術後100日目に同様にマウスに麻酔し、固定器に固定して再開頭した。鼻骨も一部削開し、鼻腔を露出させ、鼻腔の嗅粘膜に刺激電極を当て、嗅球内に記録電極を挿入し、神経の電場電位(Field potential)記録を行い、神経伝導の回復の有無を確認した。その結果、IgG投与のコントロール群は神経伝導の回復が不十分であったのに対して、抗HMGB1抗体投与群は有意に神経伝導の回復が認められた。 行動学的実験による検証は以下のように施行した。まず、マウスに0.01%ナラマイシン(シクロヘキサミド)水溶液を用いて条件付けの嫌悪学習を施行した。次に、嫌悪学習に成功したマウスに対して、嗅神経切断とエタネルセプト投与を行い、術後経日的にナラマイシンに対する忌避行動の程度を確認し、嗅覚機能の回復の有無を確認した。その結果、IgG投与のコントロール群は嗅覚機能回復が不十分であったのに対して、抗HMGB1抗体投与群は有意に嗅覚機能の回復が認められた。 以上から、HMGB1阻害により、嗅覚は神経の形態的再生だけではなく、機能的再生も促進されることを明らかにした。この成果を臨床応用すれば、難治性である外傷性嗅覚障害の新たなる治療法の確立に貢献できるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通りの研究が遂行できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
すべてのデータを詳細に解析し、国際的学術誌に論文発表を行う。
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Causes of Carryover |
(理由)購入予定であった物品の一部が、他研究室で不要になったものを使用させていただくことで、購入を節約することができたため。
(使用計画)引き続き、予定通りの研究計画遂行の必要経費として使用する予定。
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Research Products
(3 results)