2016 Fiscal Year Research-status Report
脱細胞喉頭土台を用いた喉頭全摘後の喉頭再生に関する研究
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16K11229
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
平野 滋 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (10303827)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金丸 眞一 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (00271510)
中村 達雄 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 准教授 (70227908)
岸本 曜 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (80700517)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 喉頭再生 / 脱細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
喉頭脱細胞方法の確立を試みた。 脱細胞のための試薬、濃度、要する時間の最適化を行うため、試薬としてSDS, RNAase, DNAase, Tritonなどを用い、各濃度と組み合わせを用いて、ラット喉頭を脱細胞した。 結果、SDS浸漬法が最も組織構築への損傷をおこさずに効率よく脱細胞出来る事がわかった。続いて、SDSの浸漬時間を1日、3日、7日にわけて検討したところ、3日目においては細胞成分(DAPI染色)の残存が認められたが、7日目にはほぼ脱細胞が完了していた。ただし軟骨細胞は一部残存した。細胞骨格である粘膜固有層、筋層は形態的に温存され、コラーゲン線維、弾性線維、ヒアルロン酸の温存が確認された。免疫応答については、MHC class Iの発現が3日目では残存するものの、7日目で消失した。DNA定量については、やはり3日目では残存するものの、7日目ではほぼ消失した。 以上の事より、ラット喉頭の脱細胞にはSDS浸漬法が適しており、効果は7日間で最も効率がよく、また細胞骨格であるコラーゲン、エラスチンなどの細胞外マトリックスも最大限保持されていた。軟骨細胞の一部残存は他の方法による報告でも指摘されており、軟骨細胞を完全に除去するのは難しいと考えられるが、残存細胞に免疫応答性はないことが確認できたので、本法が十分有用であると考える。ただし、ラット喉頭での方法論は確立したが、これが大型動物でどうかは今後の検討課題であり、引き続き検討を行っていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
脱細胞の最適化を行い、動物への移植実験を行う予定であったが、脱細胞技術の確立に予定以上の時間を要した。脱細胞の方法を多くし過ぎた結果であったが、そのおかげで安定した方法論が確立した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は方法論の確立に時間を要したが、今後は予定通り動物実験をすすめていく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は喉頭の脱細胞法の確認のために時間を費やし、全体のスケジュールとしてはやや遅れている。動物を使った慢性実験を行う予定であったが、そこまでいかず、これに用意していた経費が執行されなかったため、次年度への繰り越しが発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のごとく、慢性実験用経費が余剰になっている。脱細胞の手法は確立できたので、次年度は移植を含めた慢性実験をすすめる予定であり、余剰金はH29年度請求金額とともにこれに充当していく予定である。
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