2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11233
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
藤原 和典 鳥取大学, 医学部, 講師 (90403419)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢間 敬章 鳥取大学, 医学部附属病院, 助教 (30444631)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | セラミド / 頭頸部癌 / スフィンゴ脂質 / 発がん予防 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞膜成分のスフィンゴ脂質は、アポトーシス誘導因子として作用することが知られている。我々は、この中でスフィンゴ脂質の代謝過程で生成されるセラミドが、頭頸部癌に対して、抗腫瘍性の脂質分子として機能することを先駆けて報告している。頭頸部癌患者では、二次発がんを含む重複癌が2割程度伴うことから、発がん予防や化学療法の奏効率を上げる新規の方法論が喫緊の課題である。当該年度の研究は、頭頸部癌の化学発がんに対する抑制効果について検討するものである。本年は、トランスジェニックマウス(CB6F1-Tg rasH2マウス)に化学発がん物質(4-nitroquinoline 1-oxide)を16週投与し、化学発がんを誘発させ、あわせてセラミド誘導物質(グルコシルセラミド)を投与し、効果を検討した。投与開始から16週後にマウスを犠牲死させて剖検を行った。口腔咽頭食道にかけて、展開し固定処理を終了した。また、全身の腫瘍臓器を摘出し処理を行った。16週後の口腔咽頭食道の肉眼所見では、対照群で、癌新生が確認され、実験系として問題無く遂行できていることが確認された。また、グルコシルセラミド投与群では、発がんが有意に抑制されていた。現在、組織を処理し、免疫組織学的に解析を行っている。本研究で使用している、グルコシルセラミドは、米ぬかから抽出した物質であり、すでに安全性試験も終了している。また、現在ヒト頭頸部癌患者においても治験を行っている。そのため、本研究により発がん抑制効果が確認されれば、臨床現場に於いて治療応用につながると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究予定は、頭頸部発癌に対するセラミド誘導物質(グルコシルセラミド)の抑制作用を検討することである。すでに、動物実験施設において、トランスジェニックマウス(CB6F1-Tg rasH2マウス)に、化学発癌物質を16週間投与することで、化学発がんを誘発させることに成功した。実験群マウスにはセラミド誘導物質(グルコシルセラミド)を投与し、投与開始から16週後にマウスを犠牲死させて剖検を行った。口腔咽頭食道にかけて、展開し固定処理を終了した。また、全身の腫瘍臓器を摘出し処理を行った。16週後の口腔咽頭食道の肉眼所見では、対照群で、癌新生が確認され、実験系として問題無く遂行できていることが確認された。また、グルコシルセラミド投与群では、発がんが有意に抑制されていた。現在、組織を処理し、免疫組織学的に解析を行っている。また、上記実験に平行して、グルコシルセラミド投与による担癌生存期間の延長の有無を検証するため、生存日数を測定した。
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Strategy for Future Research Activity |
頭頸部化学発がんに対するグルコシルセラミドの抑制効果の検証において、免疫組織学的解析を終了させる。 その後、平成29年度に予定しているグルコシルセラミドと抗がん剤併用による移植頭頸部癌に対する治療効果の検討に移行する。これは、ヒト頭頸部扁平上皮癌細胞株を免疫不全マウス(NOD/SCIDマウス)に移植し、皮下増殖腫瘍を形成させた上で、抗がん剤とグルコシルセラミドの併用投与を行い、移植腫瘍の体積変化等を測定することで抗腫瘍効果を検討するものである。
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Research Products
(2 results)