2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11238
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永野 広海 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (60613148)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
地村 友宏 鹿児島大学, 附属病院, 医員 (10709596)
宮下 圭一 鹿児島大学, 医歯学域附属病院, 助教 (30585063)
牧瀬 高穂 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (30585120)
黒野 祐一 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (80153427)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 経皮免疫 / ホスホリルコリン / 粘膜免疫応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は抗原としてホスホリルコリン(phosphorylcholine:以下PC)に注目している。PCは様々な細菌の細胞膜に発現し、PAFレセプターを介して細胞表面に細菌が接着することに関与している。一方で化学的に合成可能で医薬品の保護剤・うがい薬・歯磨き粉など多数の分野で市販化され、安全性はヒトで確立されている。当教室ではPCの経鼻投与により、インフルエンザ菌や肺炎球菌など菌種を超えた細菌への免疫応答の誘導と感染阻止を報告してきた。投与経路には皮下投与の全身投与と経鼻や舌下などの経粘膜投与の2つが大別されるが、経粘膜投与の経鼻ワクチンでは顔面神経麻痺の有害事象が報告された。有害事象の少ない投与経路が模索されており、新たな投与法として皮膚に直接塗布する経皮投与が注目されている。その特徴として、他の粘膜ワクチンと同様に接種時に痛みを伴わないこと、また血管が分布していない皮膚の表皮に限局して抗原を投与するため発熱やアナフィラキシーのような副作用が起こらないなどの利点がある。経皮投与のメカニズムは、皮膚表面に塗布された抗原は、抗原提示細胞であるLangerhans細胞に取り込まれ、それらが所属リンパ節のT細胞に抗原提示をすることで全身の免疫を誘導するとされている。我々は、PCをアジュバンドであるコレラトキシンとともにBALB/cマウスの耳介や背部の皮膚に経皮投与することで、血清中にホスホリルコリン(PC)特異的IgM、IgG、IgAが産生されることを確認した。また粘膜面においてもPC特異的IgAが産生された。抗原を塗布した皮膚では有害事象は認めなった。各種免疫方法の相違のよる利点と欠点は種々あるが、今回提示した経皮投与は安全に免疫することができ選択肢一つになるのではないかと考える。しかし血清中で非特異的IgEの上昇を認め、アジュバンドを含めた改良が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、PCをアジュバンドであるコレラトキシンとともにBALB/cマウスの耳介や背部の皮膚に経皮投与することで、血清中にホスホリルコリン(PC)特異的IgM、IgG、IgAが産生されることを確認した。また粘膜面においてもPC特異的IgAが産生された。抗原を塗布した皮膚では有害事象は認めなった。特に耳介の皮膚を用いた手法は、血清中PC特異的IgM、IgG、IgAの産生が背部の皮膚を免疫した場合よりも増加し、経皮投与部位を決定するうえでの有用な部位として見出すことができた。さらに抗原としてPspA、アジュバンドとしてCTを用いて経皮投与した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後上述の免疫方法を用いて感染阻止が可能であるか追加実験で確認する必要がある。具体的には上気道感染で問題となる肺炎球菌株を用いた感染阻止実験を行うと共に安全性の確認を行っていきたい。前述したこれらの実験系はあくまでも動物を用いたものであり、今後は上市にむけて非臨床試験、治験、薬事承認等のプロセスが必要である。
|
Causes of Carryover |
(理由)計画的に予算を執行していたが、若干の次年度使用額が生じた。 (使用計画)次年度の消耗品の購入に使用する。
|
Research Products
(3 results)