2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11251
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
北村 拓朗 産業医科大学, 医学部, 准教授 (60341509)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 睡眠呼吸障害 / 睡眠時無呼吸症候群 / レム睡眠 |
Outline of Annual Research Achievements |
産業医科大学若松病院の睡眠呼吸障害外来を受診し、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の診断目的にて終夜睡眠ポリグラフ検査(polysomnography: PSG)を受けた成人患者のうち、無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index: AHI)が5以上、かつPSG中にレム期、ノンレム期ともに30分以上認められ、CPAP、外科的手術を受けたものを対象に臨床研究を行っている。 1)レム関連睡眠時無呼吸に対するCPAPの効果 当該研究期間において新規にCPAP治療を開始した患者を無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index:AHI)がノンレム期のAHIの二倍以上である群(レム関連睡眠呼吸障害群)とそれ以外に分類し、CPAP治療に対する反応性(アドヒアランス、自覚症状の改善)の違いについて解析した。対象66名の内、レム関連睡眠呼吸障害群は8名(12.1%)、非レム関連睡眠呼吸障害群58名(87.9%)であった。CPAP治療開始後の90日間の解析で、レム関連睡眠呼吸障害群ではアドヒアランス(1夜あたりの使用時間が4時間以上の割合)、エプワース眠気尺度(ESS)の改善度が有意に低値であった。 2)レム関連睡眠時無呼吸に対する外科的手術の効果の検討 当該期間に鼻腔通気改善手術、咽頭拡大手術を計20名に行い、それぞれの術式におけるレム期およびノンレム期の呼吸障害指数の改善について中間解析を行った。鼻腔通気改善手術では前後のTotal AHIの改善率の平均は8%と低値であり、ノンレム期のAHIの改善には有意差を、認めなかったがレム期のAHIについては有意な低下を認めた。一方、両口蓋扁桃摘出術および軟口蓋形成術等の咽頭拡大手術では、Total AHI、ノンレム期のAHIともに有意な低下を認めたが、レム期のAHIには変化を認めなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レム関連睡眠時無呼吸の各治療に対する反応性を検討する十分な症例数にまだ至っていない。とくに口腔内装置を導入され治療前後に睡眠検査を施行できた対象が少ない。 CPAPアドヒアランスの解析および各術式によるレム関連睡眠呼吸障害の反応性の解析については十分な症例数を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
レム関連睡眠時無呼吸に対する各種治療の効果および上気道形態や閉塞様式の病態解明について引き続き検討を行う予定である。1)CPAP治療については一日あたりの平均CPAP使用時間が4時間未満の対象者に対して、睡眠日誌記録と自己記入式の眠気記録を約1ヶ月間連日行い、睡眠時間の前半と後半のアドヒアランスと自覚的眠気の改善に違いがあるか、またレム関連性の有無による相違について検討を行い、レム関連睡眠時無呼吸患者における睡眠時間後半のCPAP使用の重要性について検討する予定である。また成人用人工呼吸器(Omnilab)を用い、レム関連睡眠時無呼吸に適したCPAPのモード(固定圧、自動圧、bi-level等)についての検討も予定している。2)鼻腔通気改善手術と咽頭拡大手術に対する治療反応性についてはレム期のAHIとノンレム期のAHIでそれぞれ異なったメカニズムが示唆される傾向を得ており、レム関連睡眠呼吸障害の手術適応についてさらなる検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)印刷費、論文投稿費用等が予定額より少なかったため。 (使用計画)論文投稿費用に充当する予定である。
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