2017 Fiscal Year Research-status Report
頭頸部癌幹細胞の多分化能獲得におけるnon-coding RNAの役割
Project/Area Number |
16K11256
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
若崎 高裕 九州大学, 医学研究院, 助教 (10608871)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 頭頸部癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
化学放射線療法や再建手術などの集学的な治療法が進歩した現在でも、進行頭頸部癌治療の中心は手術であり、進行頭頸部癌の予後及びQOLはここ20年間大きな改善をみていない。近年の分子生物学的観点からは、癌幹細胞(CSC)が固形癌の予後を不良とする因子として注目されているが、頭頸部癌のCSC維持誘導のメカニズムは明らかになっていない。最近のwhole-exome sequence研究(Science 2011他)及びTCGAのパブリックデ-タにより、頭頸部癌には優位な癌遺伝子のgain-of-function mutationがないことが明らかになった。さらに、癌の発生・進化にはepigeneticな機構が大きく関与する事も明らかになっている。頭頸部扁平上皮癌では、周囲環境からのストレスに反応し、epigeneticに多分化能(pluripotency)を獲得したCSCへのreprogrammingが重要な要素であると考えている。 過去の報告及び我々のTCGA解析によると、Sox2は頭頸部癌幹細胞化に必要な有力な遺伝子と考えており、これをノックダウンあるいは導入した細胞株の表現型を解析し、それぞれの細胞株を比較することで頭頸部癌におけるエピジェネティック機構を解析する方針である。 各種頭頸部癌細胞株(HSC3, HSC4, SAS, OSC19, OSC20, SCC4, SCC9, Cal27, FaDu, SCCKN)でSox2発現の大きいHSC4を確認した。この細胞株に対し、RNAiを用いてSOX2をノックダウンさせ、解析中である。wound healing assayではノックダウン株でhealingが低下していた。この細胞を用いての解析を継続中です。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関の異動に伴い、実験環境が一変し実験環境を整えるのに時間がかかった。昨年度は実験環境を整えた。本年度より本格的に実験を再開する。
|
Strategy for Future Research Activity |
・SOX2の発現を操作した細胞株のほかに、細胞株あるいはPrimary culture からのsphere形成細胞の解析を進める。RNA PCR arrayを用いて、lncRNAを含むエピジェネィックス機構に関与する分子の発現量の変化を解析する。lncRNAによりエピジェネィックス機構に関与する分子をpick-upする。新規lncRNAの腫瘍標本中の発現量をqPCRなどでも確認し、予後や臨床病期等の因子との相関を解析する。TCGAデータとの照合も行う。RNA-sequenceの結果と併せて、PRC target遺伝子、ESC関連遺伝子発現などのgene setとの相関も解析したい。
|
Causes of Carryover |
少額の次年度使用額が出たが、とくに大きな変更はない。 細胞培養や解析に必要な物品費に主に使用する予定です。
|