2022 Fiscal Year Research-status Report
HTLV-1関連眼疾患の診断法確立のための臨床的研究
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16K11268
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
中尾 久美子 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (30217658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 龍二 鹿児島大学, 総合科学域総合研究学系, 教授 (70336337)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HTLV-1 / uveitis / adult T-cell leukemia / HAM/TSP |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はHTLV-1関連ぶどう膜炎や成人T細胞白血病(ATL)症例の受診がなく、新な試料(眼内液と血液)は収集できなかった。 このため、前年度までに収集したデータを臨床的に解析した。ATL90例のうち、15例が日和見感染によるサイトメガロウイルス網膜炎を発症し、13例がATL眼内浸潤を発症していた。ATL眼内浸潤症例は男性7例、女性6例で、眼内浸潤発症時年齢は49-70歳(平均59.8歳)であった。ATL発症から眼内浸潤発症までの期間は0日から4年で、2例は眼病変発症がきっかけて全身的にATLであることが判明した。眼内浸潤発症時の全身状態は7例が寛解状態で、4例は化学療法中、眼病変から発見された2例は急性転化の状態であった。片眼性5例、両眼性8例で、ATL眼内浸潤21眼に経過観察中にみられた眼所見は、前房混濁9眼、硝子体混濁14眼、眼底病変15眼であった。眼底病変は網膜内病変、網膜下病変、網膜血管白鞘、脈絡膜病変、視神経乳頭腫脹がみられ、網膜病変は広がりも深さもさまざまであった。眼病変は当初トキソプラズマ、ヘルペスウイルスなどによる感染性ぶどう膜炎や原因不明のぶどう膜炎と診断されて治療され、2週間から6ヶ月(中央値2ヶ月)後にATL眼内浸潤と診断されていた。前房水を採取して前房水中にATL細胞が確認できたのは8眼で、TCR-β遺伝子再構成は検査した3眼中1眼にみられた。眼内液のsIL-2Rは検査した13眼すべてで基準値より高値で、うち9眼は血液のsIL-2Rより高値を示したが、急性転化で血液のsIL-2Rが異常高値であった2眼と明らかな網膜病変のなかった2眼では、眼内液のsIL-2Rは血液より低値であった。眼内液のsIL-2Rは診断の補助として有用と考えられたが、これだけで診断マーカーとすることはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和4年度も対象となる症例がなく、検体収集が進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに保存されている試料を使って研究進め、結果を論文として発表する。
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Causes of Carryover |
対象となる検体が集まらず、検査に使用する物品がなかったため、学会にweb参加して旅費の使用が減ったため、次年度使用額が生じた。次年度、論文作成費用や学会参加費用として使用する予定。
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