2016 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病黄斑浮腫の眼内生物活性因子・経時的解析によるオーダーメード治療の開発
Project/Area Number |
16K11272
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
志村 雅彦 東京医科大学, 医学部, 教授 (20302135)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安田 佳奈子 東京医科大学, 医学部, 講師 (70647461)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 糖尿病黄斑浮腫 / VEGF阻害薬 / 感受性 / サイトカイン / 投与プロトコール |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病黄斑浮腫症例に対するVEGF阻害薬を投与して、その前房水のサイトカイン濃度を解析し、VEGF阻害薬の反応性を探るという主目的に対し、有意差を得るために想定した目標症例の100例には満たないが、現状における68例において前房水のサイトカイン解析を行ったところ、当初の予想よりもはっきりとした有意差が出た。したがって、現時点でも結論が得られると判断した。 すなわち、臨床的に同じ形態の糖尿病黄斑浮腫でありながら、眼内環境においてMCP-1、ICAM-1、IL-6、IP-10といった炎症性サイトカイン濃度が上昇している症例がVEGF阻害薬に対する反応性が良好であり、さらにVEGFファミリー(VEGFおよびPlGF)濃度が上昇している症例ほど、その傾向が強いことが判明した。 このことは、疾患活動性が高い糖尿病黄斑浮腫症例ほどVEGF阻害薬の効果が高いことを示すものであり、糖尿病黄斑浮腫が発症した場合は、VEGF阻害薬はできるだけ早期に投与すべきであると結論付けることができ、これは臨床における印象と一致する。 なお、本研究におけるVEGF阻害薬プロトコールは視力ではなく、浮腫の形態に依存する投与法であり、また通常3回あるいは5回行われる初期投与を行わないものであった。半年の結果ではあるが、視力予後は従来の投与法とほとんど変わらず、投与回数は従来の初期投与プロトコールでは平均にて5回弱程度であったものが、本プロトコールでは3.2回で済むことがわかり、1.5回ほど低減できるものであることも判明。今後、医療経済を考えた上で重要な根拠を提案できる結果になったといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
糖尿病黄斑浮腫症例に対するVEGF阻害薬を投与して、その前房水のサイトカイン濃度を解析し、VEGF阻害薬の反応性を探るという主目的に対し、有意差を得るために想定した目標症例の100例には満たないが、現状における68例において前房水のサイトカイン解析を行ったところ、当初の予想よりもはっきりとした有意差が出た。したがってこの時点で中間報告をすべきと考え、当該年度の国内学会に発表し、その考察を深め英文論文を作成し、投稿を行った。その結果一部修正により受理という結果を得たため、考察を深め、当該年度の2月に正式に受理されたため(British Journal of Ophthalmology)
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では2年間の長期予後を追跡する必要があり、今後はVEGF阻害薬の投与プロトコールの正当性の検証を行う必要がある。また当初の予定通り100症例を集めたうえで、形態を基準にしたVEGF阻害薬のプロトコールを確立すべく長期成績を追っていく。 なお、VEGF阻害薬の再投与時にも前房水の採取が出来ることが判明したため、眼内の生物活性物質がVEGF阻害薬の連続投与によってどのように変化していくのかについても、今後解析を行ていく予定である
|
Causes of Carryover |
次年度で行うべきサイトカイン濃度測定を、本年度に行ったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度はサイトカイン濃度測定は行わず、追加分の測定と結果公表に伴う学会費用などに使用する予定
|
Research Products
(2 results)