2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11280
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
馬場 隆之 千葉大学, 大学院医学研究院, 准教授 (00361725)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 視細胞保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、網膜剥離モデルでの網膜障害の機序について、検討を行った。平成28年度に確立されたBrown-Norwayラットによる実験的網膜剥離から、後眼部の組織ブロックを作成し、凍結切片を用いて実験を行った。免疫組織学的手法を用いて、Caspaseを介したapoptosis経路、AIFシグナル経路、RIPを介したnecrosisの関与を検討した。それぞれのマーカーを用いて、網膜剥離作成後3日目の組織でシグナルを検出することができ、実験的網膜剥離においては、apoptosis経路のみでなく、AIFシグナル、RIPを介したnecrosisも同時に進行していることが推察された。 今後はクリスタリンαBによる視細胞保護作用を網膜剥離モデルを用いて研究する。Brown-Norwayラットにて実験的網膜剥離をヒアルロン酸ナトリウムを用いて作成したのち、クリスタリンαBを網膜下、硝子体内に投与し、3日後の組織を用いてTUNEL染色でapoptosisの抑制が見られるか検討する。もしTUNEL染色で細胞死が抑制されることが確認できれば、本年度この実験的網膜剥離モデルでも働いていたAIFシグナル経路やnecrosisをAIFやRIPのマーカーを用いて評価し、他の細胞障害経路でのクリスタリンαBの視細胞保護効果を検索する。もしアポトーシス以外の経路も複数抑制するのであれば、網膜剥離によって生じる障害を多方面から抑制する効果が期待できると考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目にあたる平成29年度は、研究の進捗状況に影響を及ぼすようなことは特に生じていない。caspase-3、-8、-9、AIF、RIPに対する抗体を用いた免疫組織染色により、剥離網膜での複数の細胞死システムが同時に進行していることが推測された。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、リコンビナントのクリスタリンαBを用いて、視細胞保護作用がみられるかの検討を行う。実験的網膜剥離を作成する際の、網膜下ヒアルロン酸注入にクリスタリンαBを加えることにより、濃度依存性に視細胞アポトーシスを起こす細胞が減少するかどうかをTUNEL染色を用いて検討する。網膜下に直接投与するこの方法で視細胞保護が得られるのであれば、次は硝子体内へクリスタリンαBを投与し、視細胞のアポトーシスが減少するかを確認する。理想的には、クリスタリンαBの点眼でも、実験的網膜剥離に対する視細胞保護が得られれば良いが、組織移行性の問題もあり、次の課題になるかもしれない。 TUNEL染色でアポトーシスの抑制が見られれば、AIFやRIPのマーカーを用いて他の細胞障害経路でのクリスタリンαBの視細胞保護効果を検索する。もしアポトーシス以外の経路も複数抑制するのであれば、網膜剥離によって生じる障害を多方面から抑制する相互効果が期待できると考えられる。
|
Causes of Carryover |
(理由)年度末に発注した抗体等の定価と納入価格との差額が生じたため (使用計画)試薬の購入に充てる予定
|