2016 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病網膜症におけるエピジェネティックな制御機構の解明による新しい病態概念の確立
Project/Area Number |
16K11282
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
高村 佳弘 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (00283193)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲谷 大 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (40335245)
沖 昌也 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (60420626)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖尿病網膜症 / エピジェネティクス / メチル化 / 虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は糖尿病網膜症においてエピジェネティックなメカニズムが存在しているかどうか、あるならばその意義を明らかとし、それを制御することでの治療の可能性を探ることである。糖尿病網膜症(DR)および網膜虚血動物モデルを作製し、負荷前後で変動する遺伝子をマイクロアレイにて網羅的に解析し、候補遺伝子を同定する。研究の第一段階として予定していた、糖尿病網膜症の動物モデルの作成を本年度では完遂した。作成した動物モデルは2つである。第1にストレプトゾトシン投与による高血糖を誘導した網膜症ラットモデルおよび第2にローズベンガル投与直後に主要血管に光凝固を施行することで作成した網膜虚血ウサギである。網膜症ラットモデルでは血糖値を測定し、200mg/dl以上と高血糖を示していることを確認した。網膜虚血家兎については、フルオレセイン眼底造影検査によって、網膜の灌流が途絶えていることを確認した。網膜組織切片において、VEGFのin situ hybridizationを行い、虚血領域においてVEGFが過剰発現していることを確認した。これらの動物モデルを用い、それぞれ負荷4週後、1週後に硝子体、網膜からRNAを抽出した。現在、発現量の変動する遺伝子を同定するべく、マイクロアレイ解析を行い、解析中である。 この研究のカギは、動物モデルとしての精度の高さである。初年度の研究実績はこの動物モデルの確立であり、これは達成できたと考えられる。研究計画に即して、予定通り研究の第一段階を終了することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに研究が進んでいる。動物モデルでの解析を終了させ、標的となる遺伝子を絞り込まないと、ヒトからのサンプル回収は開始できない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、明らかとする予定は以下の通りである。動物モデルの網羅的解析から、ターゲット遺伝子を絞り込む。エピジェネティックな発現制御を受ける遺伝子は、DNAのメチル化が変化している可能性が高く、同定された候補因子に関してメチル化状態が変化しているか、バイサルファイトシーケンス法により解析する。次に、硝子体手術にて硝子体および増殖膜を採取し、サンプルからRNAを抽出し、動物モデルの解析結果から候補となった遺伝子の発現量をリアルタイムRT-PCRにて測定する。両眼が硝子体手術の適応でDRの進行度に大きな左右差がある症例、もしくは血糖コントロールが近い状態でありながらDRの進行度に差が大きな患者間での比較を行う。さらに、エピジェネティックな発現調整に関与する転写活性因子のうち、既に阻害剤が幾つか開発されており、それらが候補因子をして挙がった場合、動物モデルを用いてその発現抑制効果を解析する。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が30,485円生じた。研究が想定範囲よりも早く達成でき、予備実験用に試算した額が残余した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
追加実験としてPCR試薬が必要であり、次年度の物品費として使用する計画である。
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