2016 Fiscal Year Research-status Report
線維柱帯細胞の貪食作用に対する生理活性物質の影響とその調節機構の解明
Project/Area Number |
16K11289
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤本 智和 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (50756426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷原 秀信 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (60217148)
井上 俊洋 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (00317025)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 線維柱帯細胞 / 貪食能 / Rho / ROCK |
Outline of Annual Research Achievements |
眼圧は房水の産生と流出により調節されているが、その均衡が破たんし房水流出抵抗が増加すると眼圧が上昇し緑内障の発症および進行のリスクとなる。房水流出の主経路を構成する線維柱帯細胞は貪食作用を有し、線維柱帯組織の異物を除去し、正常な房水流出の維持に寄与している。緑内障眼では細胞外基質の異常な蓄積による流出抵抗の増加が認められており、線維柱帯細胞の貪食能の低下もその一因と考えられている。本研究ではアクチン細胞骨格に影響するROCK阻害剤やN-WASP阻害剤、緑内障との関連が報告されている各種サイトカインの線維柱帯細胞の貪食作用への影響について検討を行い、その貪食作用を調節する分子機構を明らかにすることで、線維柱帯細胞の貪食作用が関与する房水流出調節機構の解明を目指す。本年度はRho-ROCKシグナルの線維柱帯の貪食作用に対する影響を中心に検討を行った。Rhoを活性化することが報告されているリゾフォスファチジン酸刺激による貪食への影響を検討した結果、刺激1時間後の線維柱帯細胞において貪食能の有意な低下が認められた。またデキサメサゾンは貪食能を低下させることが報告されているが、我々の検討でも貪食能の低下を示すデータを得た。以前の我々のデータでデキサメサゾン刺激によるRhoの活性化が認められたため、ROCK阻害剤の有無によるデキサメサゾンの貪食への影響を検討した結果、デキサメサゾンによる線維柱帯細胞の貪食能の低下に対してROCK阻害剤は有意な改善効果を示さなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Rho-ROCKシグナルと線維痛体細胞の貪食に関するデータを順調に創出することができている。さらに、貪食能評価を顕微鏡画像解析からセルソーターを使用する系へ変更することで評価のスピード化を図ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらにRho-ROCKシグナルの貪食への影響をさらに検討するため、線維柱帯細胞へ活性型Rhoの導入やRho阻害剤の貪食能の検討を予定している。また、Rho-ROCKシグナル以外についても当初の当初の研究計画に従い研究を進める。
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