2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11291
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
木許 賢一 大分大学, 医学部, 准教授 (50315339)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 敏昭 大分大学, 医学部, 教授 (30205140)
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Project Period (FY) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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Keywords | 増殖硝子体網膜症 / TGF-β2シグナル伝達 / Fibronectin ED-A / 細胞外マトリックス |
Outline of Annual Research Achievements |
増殖性硝子体網膜症は裂孔原性網膜剥離術後の重篤な合併症であり、線維性細胞増殖が網膜上、網膜下および硝子体中に生じ形成された増殖膜の収縮で剥離網膜が牽引固定される病態である。病態形成の分子メカニズムは完全に解明されておらず現状では有効な薬物治療もない。増殖膜の構成細胞は上皮間葉移行を起こした網膜色素上皮細胞であり、TGF-β2が病態形成に深く関与する。本研究では網膜色素上皮細胞においてTGF-β2で誘導され眼内増殖組織に特異的に発現する分子であるfibronectin ED-Aに着目し、眼内増殖性病変の新たな分子標的治療の確立に向けた実験を進めている。抗Fibronectin ED-A抗体は網膜色素上皮細胞においてTGF-β2で誘導されるI型コラーゲンの産生を著明に抑制した。上皮間葉移行の指標となるその他の細胞外マトリックスの再生に関してはDNAマイクロアレイとmiRNAアレイ、さらに次世代シークエンサーを使用したトランスクリプトーム解析を行い、網羅的に解析中である。 また、Fibronectin ED-Aの抑制に関しては、抗Fibronectin ED-A抗体だけでなくFibronectin ED-AのsiRNAさらにCRISPR-Cas9を使用した遺伝子抑制により効率的な抑制方法を検討中である。Fibronectin ED-Aの産生機構の制御に関しては各種のTGF-β2シグナル伝達関連因子を標的として検討を進めている。標的とする因子は、Smad、p38MAPK、PI3K、PKC-δでありどの因子もI型コラーゲンに代表される細胞外マトリックスの産生に深く関与しており各因子間のクロストークについて検討を進めており、Fibronectin ED-Aの発現調節には特定の転写因子が関与しているようである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
次世代シークエンサーを用いたトランスクリプトーム解析とそのデータ分析、CRISPR-Cas9によるFibronectin ED-Aの発現抑制の安定した実験結果の再現が不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞実験の結果の再現性を確認し、動物実験での安全性と有効性を形態学的および網膜の電気生理学的に 検討する。
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Causes of Carryover |
課題採択時期が半年遅かったため平成28年度に未使用額が発生し、平成29年度は既存の備品や試薬を使用することができたため試薬購入の支出を抑えることができたことができたため未使用額が発生した。 平成30年度は当初の計画に沿って予算執行が可能になる予定のため、これまでの未使用額を含めて支出が多くなる予定である。
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