2016 Fiscal Year Research-status Report
ユーラシア大陸内陸部多民族におけるベーチェット病関連遺伝子の解析
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16K11297
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
北市 伸義 北海道医療大学, 予防医療科学センター, 教授 (40431366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南塲 研一 北海道大学, 大学病院, 講師 (70333599)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ベーチェット病 / 中央アジア / モンゴル / カザフスタン |
Outline of Annual Research Achievements |
ベーチェット病は重篤な眼炎症・ぶどう膜炎を繰り返し、しばしば失明に至る。2010年には日本チーム(申請者ら)によるゲノムワイド関連解析で、疾患関連遺伝子が解明された (Nat Genet, 2010)。本病は古代のシルクロード沿いに多発地域が偏在しているが、旧ソ連圏では未知である。本研究の目的は、これまでの空白地域である、カフカス地方、中央アジア諸民族を中心にベーチェット病臨床像と遺伝子多型を検討し、あわせて東アジア、地中海周辺諸民族とは異なる独自のチュルク(トルコ)系民族における遺伝子背景についても詳細に検討することである。平成28年度の研究で、HLA-B51のベーチェット病眼症状に対する寄与度がシルクロードを東へ向かうほど強くなることを明らかにした。本研究計画を通じて、さらにに以下の4つの課題に答えたい。 1. カフカス地方および中央アジア諸民族にどの程度ベーチェット病が存在するか? 2. 申請者らは2015年、初のベーチェット病眼病変診療ガイドラインを英文で作成・公表した(Namba K et al. Ocul Immunol Inflamm, 2015)。今回調査地域での臨床像は東アジア人やインド人、イラン人、トルコ人、地中海地域のいずれかに類似するのか? 3. HLA-B*51はこれまで各民族の患者に共通している。それはこの地域でも同じなのか? 4. 我々の GWAS 研究 では HLA Class I 領域以外に3つの極めて相関の強い多型が明らかになった。中央アジアでもこの3つの多型が疾患関連遺伝子として共通しているのか? これらの点についてほぼ計画通りの進捗があった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画に則り、平成28年度は以下の成果を得た。 (1)モンゴル国立医科大学眼科(ウランバートル)と共同研究を行い、現地を訪れて調査した。現地の医療状況を確認した後に患者を診察して、確定診断および現地医師への診療助言を行なった。同国でベーチェット病患者存在することが確認でき、その臨床像を記録した。さらに唾液検体を採取した。現在DNA抽出を終了し、解析中である。その後も引き続き検体を継続して収集中である。 (2)カザフスタン北部の国立アスタナ眼科病院と共同研究を進めた。14例のベーチェット病患者を確認し、その臨床像を整理・検討した。DNAの抽出とタイピングを行い、現在解析中である。 (3)患者DNAのHLA class I タイピングを行った。シルクロード他地域の研究と同様、患者群でHLA-B*51およびA*26保有者がみられた。 (4)いずれの地域で採取した唾液検体も常温で保存・輸送されたが、必要量の DNA が期待通り抽出できた。今後も電力事情や交通事情が良好ではない地域と今後も共同研究を進めるにあたり、計画は順調に進捗している状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は以下の研究を進めたい。 (1)昨年度のモンゴル国調査は首都ウランバートルとその周辺地域にとどまったが、同国は周辺に広大な草原地帯があり、遊牧民が散在している。今年度は周辺地域住民を対象に調査を行う。可能であれば同国医師に本病の啓発活動も行う。 (2)カザフスタン共和国でみられた患者で、本病の臨床像と抽出した DNA のタイピング結果を照らし合わせ、その特徴を検討する。 (3)ロシア・ダゲスタン共和国の患者検体を回収した。HLAの抽出と解析を行う。同じカフカス地方のチェチェン共和国で同様の調査が可能か検討する。 (4)ロシア・シベリア地方南部もシルクロード地域と言える。ロシア国立極東大学ハバロフスク校歯学部とウラジオストク校医学部と共同研究へ向けて協議を開始する予定である。 (5)対照として日本人の臨床像と患者DNAのHLAを検討する。本病患者はほぼ100%に口腔内アフタ性潰瘍を発症するため、あわせて口腔内細菌(フローラ)の分布状態も解析する。
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Causes of Carryover |
DNA の抽出の支出先が予定と変更になったため「物品費」と「その他」の分配に変更があるものの、ほぼ計画通りに進捗・支出している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予算執行率は91%であり、ほぼ計画通りに進んでいる。平成29年度も研究計画どおり使用する予定。
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[Journal Article] Investigation of association between IL10 gene polymorphisms and Vogt-Koyanagi-Harada disease in a Japanese population.2017
Author(s)
Higashi K, Meguro A, Takeuchi M, Yamane T, Kitaichi N, Horie Y, Namba K, Ohno S, Nakao K, Sakamoto T, Sakai T, Tsuneoka H, Keino H, Okada AA, akeda A, Fukuhara T, Mashimo H, Ohguro N, Oono S, Enaida H, Okinami S, Mizuki N.
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Journal Title
Ophthalmic Genet.
Volume: 38(2)
Pages: 187-189
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] HLA-B51 carriers are susceptible to ocular symptoms of Behcet disease and the association between the two becomes stronger towards the east along the silk road: A literature survey.2017
Author(s)
Horie Y, Meguro A, Ohta T, Lee EB, Namba K, Mizuuchi K, Iwata D, Mizuki N, Ota M, Inoko H, Ishida S, Ohno S, Kitaichi N.
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Journal Title
Ocul Immunol Inflamm.
Volume: 25(1)
Pages: 37-40
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Ocular Behcet’s disease is less complicated with allergic disorders. A nationwide survey in Japan.2016
Author(s)
Horie Y, Kitaichi N, Hijioka K, Sonoda K, Saishin Y, Kezuka T, Goto H, Takeuchi M, Nakamura S, Kimoto T, Shimakawa M, Kita M, Sugita S, Mochizuki M, Hori J, Iwata M, Shoji J, Fukuda M, Kaburaki T, Numaga J, Kawashima H, Fukushima A, Joko T, Takai N, Ozawa Y, Meguro A, Mizuki N, Namba K, Ishida S, Ohno S.
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Journal Title
Clin Exp Rheumatol.
Volume: 102
Pages: 1100-1105
Peer Reviewed
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[Journal Article] Choroidal thickening prior to anterior recurrence in patients with Vogt-Koyanagi-Harada disease.2016
Author(s)
Tagawa Y, Namba K, Mizuuchi K, Takemoto Y, Iwata D, Uno T, Fukuhara T, Hirooka K, Kitaichi N, Ohno S, Ishida S.
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Journal Title
Br J Ophthalmol.
Volume: 100
Pages: 473-477
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Choroidal circulation impairment during the anterior recurrence of Vogt-Koyanagi-Harada disease confirmed with indocyanine green angiography and laser speckle flowgraphy.2016
Author(s)
Takemoto Y, Namba K, Uno T, Mizuuchi K, Iwata D, Ohno S, Hirooka K, Hashimoto Y, Saito W, Sugiyama K, Ishida S.
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Journal Title
Acta Ophthalmol.
Volume: 94
Pages: e629-e636
DOI
Peer Reviewed
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