2016 Fiscal Year Research-status Report
Sema3A阻害薬ビナキサントンによる角膜神経再生を介したドライアイ治療
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16K11299
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
吉田 悟 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (50398781)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 角膜 / 神経再生 / Semaphorin |
Outline of Annual Research Achievements |
ドライアイは、国内患者数2200万人と推定される極めて有病率が高い疾患であり、重症例を含め現行の治療では不十分な例も多い。近年ドライアイ患者の角膜内の神経が障害されていることが注目されている。我々はSemaphorin-3A阻害薬ビナキサントンが角膜内の神経再生を促進することを見出しており、本研究は、涙腺摘出ドライアイモデルマウスを用いて、ビナキサントンが新たなドライアイ治療薬となる可能性を検証することを目的としている。 ビナキサントン点眼投与による角膜上皮障害治癒作用をしらべるため、点眼有無での角膜上皮障害の程度を(1)フルオレセイン染色、(2)涙液量の測定、(3)角膜知覚の測定の3つの評価法を用いて比較した。角膜上皮フルオレセイン染色では、蛍光実態顕微鏡で撮像し、画像処理ソフトを用いて角膜上皮障害の範囲を%areaとして定量化し評価した結果、ビナキサントン点眼群で障害範囲が5.4%, control群で11%と、ビナキサントン点眼群で障害が軽減される傾向を認めた。また、無麻酔下でフェノールレッド糸(Zone-quick)を用いて行った涙液量の測定では、ビナキサントン点眼群で1.6mm, control群で2mmと、ビナキサントン点眼群で有意に涙液量が保たれた(p<0.01)。マウス用に改変したコシュボネ角膜知覚計を用いて評価した角膜知覚測定でも、ビナキサントン点眼群で3.7mm, control群で1.3mmとビナキサントン点眼群で有意に知覚障害が抑制された(p<0.01)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した平成28年度の実験計画は全て遂行することができている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究進捗は順調であり、引き続き、交付申請書に記載した平成29年度の計画を進めていく。
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Causes of Carryover |
今年度は、マウスの使用数が予定より少なかったため、残額を生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の結果をもとに、来年度はより多くの動物実験を行い再現性を取る予定であるため、残額を来年度分のマウスおよび飼育費に繰り越して使用予定である。また、平成29年度より研究代表者の所属が変更になるが、マウスを用いた研究を引き続き慶應義塾で実施する必要があるため、新たに榛村重人(慶應義塾 医学部 准教授)を研究分担者として追加し、研究費を分担者に配分して研究を遂行する体制をとる計画である。
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