2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K11301
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
川島 素子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任講師 (00327610)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 涙腺 / ドライアイ / 環境因子 / BDNF |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、環境因子による涙液分泌機構及び生理機能の変化を明らかにすることを目的に研究を行った。まず、環境因子による涙液分泌機構・生理機能の変化の確認を行うため、2種のモデルマウス、「豊かな環境」「ストレス負荷環境」を作成・飼育を確立した。豊かな環境とは、トンネル、イグルーなどの玩具や運動用の回転車輪を与えたり、より大きなケージで多くの個体を一緒に飼ったりすることによって、動 物がより多くの感覚、運動、認知的かつ社会的な刺激を受ける生育環境のことである。ストレス負荷環境とは、チューブの中にマウスを入れて拘束をし、前方から風を当てるというストレスを与える環境のことである。この2つの環境を確立し、安定したモデルマウスの作成・飼育をすることができるようになった。続いて、モデルマウスの評価をおこなった。ベースラインの評価として、体重測定と涙液分泌量測定を1週毎に行い、経時的に確認をした。また、涙液の質の評価をするため、実験開始前と終了後の2回に生食を用いてマウスから涙液を採取し、ELISA法を用いて炎症系マーカーおよび酸化ストレスマーカーを測定した。脳由来神経栄養因子(BDNF)の遺伝子発現を評価するためマウスから海馬、涙腺を摘出し、解析を行った。B6Jマウスに独自の急性ストレス負荷試験を行うと涙液分泌量が低下することが確認できた。さらに、豊かな環境で飼育したマウスに急性ストレス負荷試験を行うと、涙液減少が有意に抑制されることが発見できた。豊かな環境のモデルマウスでは、海馬でのBDNF遺伝子発現量が増加することが確認できた。次年度はさらに、この現象を探るため、BDNFに注目して、BDNFの遺伝子発現を抑制したモデルマウス(BDNF STOPtetO マウス)を利用して同様の実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画通り実行できた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で得られた結果をもとに、次年度はさらに、得られた現象を探るため、BDNFに注目して、既に繁殖準備しているBDNFの遺伝子発現を抑制したモデルマウス(BDNF STOPtetO マウス)を利用して初年度と同様の実験を行う予定である。
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Causes of Carryover |
順調に計画通り実験ができている。また、次年度用の使用マウスの事前繁殖準備用に本年度に確保していた資金が次年度最初に行うことになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウス繁殖・餌代・動物購入費などで使用する予定である。
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