2017 Fiscal Year Research-status Report
高脂肪食による加齢黄斑変性発症のレニン・アンジオテンシン系による制御
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16K11302
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
永井 紀博 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (10327611)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高脂肪食 / マクロファージ / 網膜 / アンジオテンシン |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢黄斑変性のリスクファクターである高脂肪食による網膜・脈絡膜に対する影響と、レニン・アンジオテンシンシステム(RAS)の関与についてマクロファージに着目して動物モデルを用いて解析した。 7週齢のBalb/Cマウスに高脂肪食もしくはコントロール食餌を1ヶ月間または3ヶ月間連続摂取させ高脂肪食モデルを作成した。RAS抑制にはアンジオテンシンII 1型受容体阻害薬(ARB)Valsartan(5mg/kg体重)を使用し解析前の7日間腹腔内投与した。網膜機能を網膜電図で、脈絡膜における酸化LDLの発現をELISA法、免疫染色法で解析した。脈絡膜へのF4/80、インターロイキン1βの発現を定量PCR法で解析した。さらにクロドロネートリポソームによりマクロファージを除去し、脈絡膜のインターロイキン1βの発現を検討した。 3か月間の高脂肪食摂取により網膜電図のa波の振幅の低下が生じValsartan投与により回復した。酸化LDLは脈絡膜に浸潤したマクロファージに発現していた。酸化LDLの発現量、脈絡膜へのマクロファージ浸潤、インターロイキン1βの発現は高脂肪食投与により増加し、Valsartan投与で減少した。クロドロネートリポソームによりマクロファージを除去すると脈絡膜のインターロイキン1βの発現は有意に減少した。 高脂肪食により視機能が低下した。マウスの脈絡膜における酸化LDLとマクロファージ浸潤によるサイトカイン分泌が高脂肪食による網膜障害に関わり、ARBによって予防できる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
クロドロネートリポソームによりマクロファージを除去する検討を行い、脈絡膜のサイトカイン発現が減少したことから、高脂肪食における網膜障害におけるマクロファージの寄与が確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
クロドロネートリポソームによりマクロファージを除去したときの高脂肪食摂取マウスにおける網膜機能について網膜電図で確認する。マクロファージが除去されると高脂肪食により低下した網膜機能が回復するか検討する。またマクロファージにおいて、脂質の排出を司るabca-1の役割について、abca-1のSiRNAを用いて検討する。abca-1の発現が低下したマクロファージでは、脂質が蓄積し、サイトカインの発現が増すか解析する。さらに肝臓における脂質の動態につても併せて検討する。
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