2017 Fiscal Year Research-status Report
患者iPS細胞由来視細胞標識による網膜色素変性症疾患メカニズムの解析
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16K11305
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
本間 耕平 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (80462729)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 網膜色素変性症 / ヒトiPS細胞 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
<平成29年度:網膜色素変性症患者iPS細胞ノックインライン樹立> 本研究では,これまでに既に作製された網膜色素変性症(RP)患者由来iPS細胞(RP1,RP9,PRPH2,RHO:Jin ZB et al., 2011;RHO#5, RHOmut-induced: Yoshida T et al., 2014)を使用する.昨年度,理化学研究所バイオリソースセンターに供与申請行い,慶應義塾大学の倫理委員会の承認後に入手することができた. 得られたRPのiPS細胞のライン(59M8(RHO_562G>A変異),K10M5(RP9_410A>T変異),K11PD17(RP9_410A>T変異),K21S4(RP1_2162insC変異),K31M28(RHO_520G>A変異, PRPF31_613_615delTAC変異),RHO#5(RHO_541G>A変異, RHOmut-induced(RHO_541G>A変異)のゲノムを抽出しシークエンスでヘテロの変異を確認した.これらのラインから分化させた桿体視細胞を選択的に標識するために,CRISPR/Cas9システムによるノックイン方法を行った.この方法では,ヒトゲノム上のSafe harborと言われるAAVS1サイトに桿体視細胞に特異的なNrl遺伝子のプロモーターGFP発現カセット(Nrlp-GFP)を挿入した.これにより,網膜桿体視細胞に分化した細胞をGFPで標識することができ,その後の遺伝子発現,機能解析を行うことが可能となった. 現在,特にロドプシン(RHO)に変異のある,59M8,K31M28,RHO#5,RHOmut-inducedについて注目して,これらの細胞の維持培養および分化培養を開始している. また,一方で網膜視細胞全般(Crx遺伝子)と錐体視細胞(Pde6H遺伝子)を標識するゲノム編集をCRISPR/Cas9で行い,分化した視細胞の遺伝子発現解析を定量PCRによって解析を行った.今後得られる,Nrlp-GFPのラインを加えることによって,基準となるコントロールの視細胞の遺伝子発現が解析可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網膜色素変性症患者由来iPS細胞の取得にやや時間がかかったが,まずは,これらの細胞への桿体視細胞を標識するためのノックインを確認することができた.現在,昨年度樹立した,網膜錐体視細胞および桿体視細胞を標識することができるコントロールiPS細胞を用いて,RNAシークエンスを用いた遺伝子解析を行っているところである.今後,取得することができた疾患iPS細胞ノックインラインの分化培養を行い,コントロール視細胞と比較することによって疾患メカニズムの解析を行っていく.
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Strategy for Future Research Activity |
現在樹立した網膜色素変性症患者由来iPS細胞のノックインラインの分化培養を順次行っている.順調に行けば,4ヶ月ほどでGFP陽性細胞が得られると考えられる.次世代シークエンサーの解析をスムーズに行うため,コントロールとして,網膜視細胞全般(Crx陽性細胞)と錐体視細胞(Pde6H陽性細胞)を標識したダブルノックインラインを作製したので,この詳細な解析を行い,疾患iPS細胞由来視細胞の性質を比較検討する.
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Causes of Carryover |
昨年度,網膜色素変性症患者由来iPS細胞の供与が遅れたため,ノックインラインの樹立からの分化が遅れ,次世代シークエンサーによる解析が本年度に持ち越されることとなった. 持越しされた予算は,次世代シークエンサーを用いた遺伝子発現解析の費用として用いられる.
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