2016 Fiscal Year Research-status Report
Fuchs角膜内皮ジストロフィの病態生理における小胞体ストレス応答の意義
Project/Area Number |
16K11307
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
小泉 範子 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (20373087)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 角膜内皮障害 / Fuchs角膜内皮ジストロフィ / 小胞体ストレス / TGF-βシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、角膜移植以外に治療法がない難治性角膜疾患であるFuchs角膜内皮ジストロフィ(FECD)の病態を解明し、発症予防と新規治療法の開発のための基礎的知見を得ることを目的とする。我々はこれまでにFECD患者由来の角膜内皮細胞用いてFECD疾患モデル細胞を樹立し、FECD角膜内皮細胞はECMを過剰に産生すること、上皮間葉系移行を制御する遺伝子群(Snail1、ZEB1)を高発現することにより、TGF-βに高い反応性を示してECMを産生することを見出した。本年度は、FECD患者の角膜組織を用いた検討により、患者角膜内皮細胞には変性タンパク質(aggresome)が蓄積されており、それらはフィブロネクチンやⅠ型コラーゲンと共局在すること、電子顕微鏡による観察で小胞体の形態異常が見られることを示した。また、FECD患者角膜組織のマイクロアレイ解析を行い、患者角膜内皮ではTGF-β1/2、TGF受容体(I型/II型)、またフィブロネクチンをはじめとする細胞外マトリックス関連分子の発現が亢進していることを確認した。さらに、FECD疾患モデル細胞においても患者角膜内皮細胞と同様に、変性タンパク質が増加しており、フィブロネクチンやⅠ型コラーゲンと共局在することが明らかになった。さらにFECD疾患モデル細胞では、小胞体のストレスセンサーであるIRE1、PERK、ATF6が活性化しており、ミトコンドリア経路を活性化することによりアポトーシスを生じていることを明らかにした。これらの結果より、FECDにおいてTGF-βシグナルの活性化により細胞外マトリックス関連分子が過剰に産生されることで、変性タンパク質が蓄積し小胞体ストレスによる細胞死が生じる可能性が示された。本研究はドイツエルランゲン大学のFriedrich Kruse教授、京都府立医科大学の佐藤貴彦博士らとの共同研究である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画どおりに順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
複数の刺激を用いたFECDの疾患モデル細胞によるin vitroの検討、FECDモデルマウスを用いた研究を計画しており、TGF-βシグナルの活性化がFECDの治療ターゲットになりうるかを検討する。
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Research Products
(8 results)