2017 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子発現の変化による網膜神経保護と緑内障の治療研究
Project/Area Number |
16K11308
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
原田 知加子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, 研究員 (20435720)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 神経保護 / 軸索再生 / 遺伝子発現 / 緑内障 / 視神経外傷 / 既存薬 / 神経栄養因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
緑内障は我が国における最大の失明原因であり、眼圧降下以外の手法による神経保護療法の開発が期待されている。また視神経再生による視野の回復という夢の治療についても、iPS 細胞等の登場以来、その実現を願う声は高まっている。そこで本研究では複数の緑内障モデル動物を用いて遺伝子治療や薬剤による細胞保護および視神経軸索再生療法の可能性を検討する。組織学的な解析に加えて、非侵襲的な光干渉断層計(OCT)や電気生理学的手法を用いることにより、構造と機能の両面からその治療効果を明らかにする。 本年度は正常眼圧緑内障モデル動物に対する既存薬(Rho/ROCK阻害点眼薬や脳梗塞に対する治療薬であるEdaravone)の投与実験を行い、OCT や多局所網膜電位を用いることにより、その治療効果を同一眼において非侵襲的かつ経時的に確認している。 一方、網膜神経節細胞等の神経細胞から特異的に神経栄養因子受容体TrkBが欠損するTrkB ckit CKOマウスおよびTrkBがMullerグリア細胞から選択的に欠損するTrkB GFAP CKOマウスを用いた視神経外傷モデルを作成し、野生型マウスとの比較を行っている。すでに逆行性ラベリングやヘマトキシリン・エオジン染色後の組織切片を用いて、野生型マウスとの検討を開始している。これらの知見から細胞種特異的な神経保護メカニズムの解明を進める。また同様の検討を神経栄養因子としての機能を持つNeuritinの欠損マウスでも開始し、野生型マウスよりも強い神経変性を確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既存薬の投与実験に関して3報の論文発表を行い、それ以外にもすでに2報が投稿中である。さらにTrkB遺伝子改変マウスやNeuritin欠損マウスを用いた視神経外傷に関する研究にも進展が見られるため。
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Strategy for Future Research Activity |
神経保護研究や緑内障に関する論文作成を継続するとともに、視神経再生に関するテーマも進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 研究経費の節約に努めた結果、わずかながらその成果が現れ、次年度使用額が生じたものである。 (使用計画) 次年度経費に組み入れて、特に物品費として使用予定である。
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Research Products
(11 results)