2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11315
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西口 康二 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (30447825)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 徹 東北大学, 医学系研究科, 教授 (30361075)
藤田 幸輔 東北大学, 医学系研究科, 助手 (80708115)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝子治療 / 網膜変性 / 視覚再建 / 可塑性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「先天性網膜変性症に対する治療では、視覚再建に有効な感受性期が、杆体系視覚と錐体系視覚とでは異なる」という仮説の検証を行う。そのために、全盲のマウスの視覚のどちらか一方のみを再建した後にマウスの視機能測定を行い、それぞれの視覚系での感受性期を同定することで行う計画である。 平成28年度は、マウスの繁殖と少数のマウスを使った実験条件の設定に注力する予定であったが、苦労なく条件設定に成功したため、平成29年度に予定していた研究を前倒しにして遂行した。 杆体機能欠損マウスと錐体機能欠損マウスより、杆体・錐体機能欠損マウス(ダブルノックアウトマウス)を作製した。マウスの視機能解析により、同マウスはほぼ視覚がないことが判明した。一方で、錐体視細胞が経時的に減少するため、治療のタイミングにより網膜機能に影響が出る可能性がある錐体視細胞は、視覚再建の対象として適当ではないことが判明した。次に、生後2週、4週、8週、4か月のマウスを各8匹遺伝子治療を行い、杆体視覚を再建した。その結果、どの時期に治療を行っても視力は完全に回復する、という予想外の結果を得た。視覚誘発電位の反応も治療時期による差異はなかった。そのために、研究計画を変更し、生後1か月、3か月、9か月で遺伝子治療を行い杆体系の視覚を再建した。しかし、やはり、どの時期に治療を行っても視力は完全に回復し、視覚誘発電位も治療時期による差異はなかった。これにより、設定した仮説は否定された。 一方で、治療時期により、再建された網膜電図の波形にわずかな変化を検出した。経時的にa波振幅に対するb波振幅の比率が低下することがわかった。免疫組織染色で、同現象がPKC alpha陽性杆体双極細胞の経時的減少によるものであることを示唆する結果を得た。以上の結果の再現性を確認中である。今年度中に、以上の成果を論文にまとめ、投稿できる見込みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、「先天性網膜変性症に対する治療では、視覚再建に有効な感受性期が、杆体系視覚と錐体系視覚とでは異なる」という仮説の検証を行う。そのために、全盲のマウスの視覚のどちらか一方のみを再建した後にマウスの視機能測定を行い、それぞれの視覚系での感受性期を同定することで行う計画である。 平成28年度は、マウスの繁殖と少数のマウスを使った実験条件の設定に注力する予定であったが、苦労なく条件設定に成功したため、平成29年度に予定していた研究を前倒しにして遂行した。設定した仮説を否定する結果を得たが、予想外の知見も得た。それらの成果を論文にまとめ、今年度中に投稿する見込みである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に得られた結果の再現性を確認したのち、今年度中に、成果を論文にまとめ、投稿できる見込みである。
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Causes of Carryover |
本年度は予想外に順調に研究がすすみ、その結果、使用した研究費が予定よりも少額になった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、これまで得られた実験結果を検証する目的で、新たな行動学実験や分子学的検討を行っていく予定である。具体的には、行動学実験の条件設定にかかる費用、マウス飼育費、ウィスル作製、免疫組織学的解析、RT-PCR,ウェスタンブロット、などの実験を行う予定であるため、未使用額を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)