2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of contact lens new design for myopia control based on higher-order aberration theory
Project/Area Number |
16K11316
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
平岡 孝浩 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30359575)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 近視 / 高次収差 / コンタクトレンズ / 調節 / 視機能 / 眼軸長 |
Outline of Annual Research Achievements |
球面収差に関してはレンズ前面を非球面にすることにより6mm領域での換算で0.3μm,コマ収差に関してはFCオフセットを行うことにより0.4μmの収差量を意図的に組み込んだ高次収差制御ソフトコンタクトレンズ(SCL)を作成した.これまでに得られた研究結果から,垂直コマが近視進行抑制に働くことが判明したため,コマ収差は垂直方向にデザインした.また様々な屈折状態の被験者に幅広く対応するために,近視度数の幅を-1~-6Dまで0.25D刻みで取り揃えた. ボランティア8名にこの試作SCLを装用させ,視力およびコントラスト感度を測定したが,対照の単焦点SCLと遜色ないQOVが得られることを確認した.次にアコモドメーターHS-9G(Kowa)で調節力を測定したところ,試作レンズ装用下では調節力が増加することが確認できた.つまり,この特殊デザインSCLは調節の幅を広げることが判明した.そこで両眼開放レフ(WR-5100K,シギヤ)を用いて,近見時の調節反応量を測定したところ,対照の単焦点SCL装用下よりも平均で0.34Dの調節反応量が軽減することが確かめられた.AA-2(NIDEK)での調節微動評価においても特殊デザイン(高次収差制御)SCL装用下では対照SCLよりもHFCが低下することが確認できた.これらの結果の解釈としては,意図的に組み込まれた高次収差は,偽調節として働くため,見かけ上の調節幅(調節力)が増加し(焦点深度が拡大し),また近見時には少ない調節反応量でも近方視標に焦点が合うため調節負荷が軽減すると考えられた. AA-2による調節微動検査にてもHFCの低下として検出され,つまり調節負荷(眼精疲労)が減少するということが示唆された. 以上の結果により,高次収差の増加が調節負荷の軽減を介して近視進行や眼軸長伸長に抑制的に働くというメカニズムの一部を証明することができた.
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