2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11324
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
福島 敦樹 高知大学, 教育研究部医療学系臨床医学部門, 教授 (40281737)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アレルギー性結膜炎 / マウス / 卵白アルブミン / 経口免疫寛容 / 好酸球 |
Outline of Annual Research Achievements |
経口免疫寛容により既に発症したアレルギー性結膜炎を効率よく抑制するため、抗原感作成立後に経口免疫寛容を誘導する方法を検討した。まず、アレルギー性結膜炎を安定して発症させるため、抗原(卵白アルブミン)の感作量を0.1μg, 1μg, 10μg,100μgの4段階で比較した。それぞれの抗原を水酸化アラムとエマルジョンを作成し、皮下に注射し、その後、抗原を点眼する方法で結膜炎を誘導した。結膜炎を評価するために、抗原点眼後24時間目の臨床スコアと、摘出した結膜の組織標本をギムザ染色することにより、結膜に浸潤した好酸球数を計数した。その結果、感作する抗原量としては100μgが至適であることが確認できた。続いて、経口投与法を検討した。2回の抗原感作終了後(初回の抗原感作から2週間後)より17日間抗原を経口投与する、いわゆる治療的投与法で検討した。投与方法は1)飲料水に混ぜる、2)ゾンデで投与する、3)餌に混ぜる、の3つの方法を当初は予定していた。まず、飲料水に混ぜる方法はcontaminationの可能性が高いことが判明し、中止とした。次に、これまで行ってきたゾンデで与える方法で、経口で投与する1回あたりの抗原量を検討したところ20mgが至適であることがわかった。つづいて、餌に抗原蛋白を混ぜる方法で検討した。ゾンデで投与した抗原量に相当する抗原量を毎日食する分に換算し、抗原を餌に混ぜ投与したが、結膜炎の抑制効果は認められなかった。本年度の検討から、治療的投与においても卵白アルブミンを抗原とした系ではゾンデで投与する方法が安定して経口免疫寛容を誘導できることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の目標は安定した実験系の樹立であった。上記に記したように、感作する抗原量を比較することにより、安定して結膜炎を誘導することができる系を確認した。つぎに、経口免疫寛容を誘導する系を比較した。これまで、我々は、経口免疫寛容を誘導するために、ゾンデを使う方法、遺伝子導入米を用いた方法を用いてきた。今回の卵白アルブミンの系では遺伝子導入米を用いることができなかったために、通常の餌に抗原蛋白を混ぜ、マウスに自然摂取させた。本方法では結膜炎を抑制できないことがわかったことから、本年度の試験結果から至適な経口免疫寛容誘導方法はゾンデを用いて抗原を投与する方法であることがわかった。ただし、当初の目標に掲げていた、血清中の免疫グロブリン値測定やリンパ球が産生するサイトカイン量の測定ないどの検討をできておらず、その点は十分といえいない。ただしこれらの項目は副次的項目であり、主要評価項目である結膜炎についての結果が得られたことから、概ね順調であると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは上記で得られたサンプルの免疫学的評価を行う。具体的には血清免疫グロブリン値測定である。続いて、経口投与する期間をさらに延長させ、より強力に免疫寛容を誘導することができないか、評価する。具体的には経口投与開始を2回目の抗原全身感作時とし、経口投与期間をさらに1週間延長する方法を検討する予定である。その際には血清の回収のみならず、リンパ球を回収しインビトロで抗原刺激を加えサイトカインプロフィールを評価する予定である。昨年度の研究では餌に抗原を混ぜて投与した系では経口免疫寛容は誘導できなかった。可能性として腸管に抗原が到達する前に消化酵素により、蛋白が変性あるいは抗原部位が断片化されていることが考えられる。そこで、効率良く抗原を腸管に運ぶことができるようなデバイスを用いることにより、経口免疫寛容を誘導する方法を検討中である。
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Research Products
(20 results)