2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K11328
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
橋爪 公平 岩手医科大学, 医学部, 講師 (50407095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒坂 大次郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20215099)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 白内障 / 加齢性眼疾患 / 酸化ストレス / 抗酸化 / ポリフェノール / ステロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
ステロイド誘発鶏胚白内障モデルは、放卵後15日齢の受精卵にヒドロコルチゾンを投与することにより生じる白内障モデルである。その混濁は、ヒドロコルチゾン投与後約20時間後から生じ、48時間後には90%以上で生じる。この水晶体混濁は酸化ストレスによって生じるため、このモデルは抗酸化作用を持つ薬剤のスクリーニングとして有用なモデルであるとともに、その作成や薬剤投与が簡便な優れた実験モデルとされている。 具体的には放卵後の受精卵を37℃、湿度68%で孵置し、15日齢で受精鶏卵気室部にヒドロコルチゾン0.50 nmol/eggを投与する。薬剤の投与は、半減期が短いものでは、ヒドロコルチゾン投与後3時間後、10時間後、20時間後に行い、半減期の長いものでは、ヒドロコルチゾン投与後3時間後に1回投与する。ヒドロコルチゾン投与後48時間後に解剖を行う。鶏胚を摘出し、角膜輪部に切開を加え水晶体を摘出し、摘出水晶体の混濁の程度を1~5にスコア化し評価する。また摘出水晶体のチオール活性を測定することによって、水晶体中の還元型グルタチオン量を求める。過去の実験では水晶体の混濁と還元型グルタチオン量は負の相関が認められる。 平成30年度はポリフェノール類を中心にいくつかの抗酸化物質を用いて、この実験を行った。フランス産の松皮に含まれるポリフェノール類であるピクノジェノールの投与実験では、投与により鶏胚の生存に問題がないことが確認された。またピクノジェノールの投与により水晶体混濁が抑制できる傾向が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
治療実験を行いたかったが、孵卵器の温度調節がうまくいかず、ステロイド誘発鶏胚白内障モデルでの混濁が弱かった。 また寒期に産卵された卵では、経験上ステロイドに対する反応が悪いため、平成31年度に改めて治療実験をする必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、ステロイド誘発鶏胚白内障モデルの他に、マウスの紫外線誘発白内障モデルを用いて、よりヒトに近い モデルで白内障を抑制できるか検証し、水晶体タンパクの解析を行い、白内障の病態そのものを明らかにする。
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Causes of Carryover |
ピクノジェノールの抗酸化作用がステロイド誘発鶏胚白内障モデルの水晶体混濁を抑制することが確認できた。そこで学会発表と論文作成のため再現実験が必要となるが、気温の低い冬期は鶏胚のステロイドに対する反応が悪くなってしまい、水晶体混濁が生じづらくなってしまうため、実験には不向きな時期である。本研究の成果を上げるためには、暖かくなる4月以降に再現実験を行うことが必要である。
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