2017 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病網膜症の発症におけるTh細胞の関与およびTh細胞を中心とした病態の解明
Project/Area Number |
16K11337
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
竹内 大 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 眼科学, 教授 (40260939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 裕 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 衛生学公衆衛生学, 教授 (00235227) [Withdrawn]
佐藤 智人 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 眼科学, 助教 (00724246)
伊藤 正孝 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 再生発生学, 准教授 (30534896)
播本 幸三 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 眼科学, 助教 (80626804)
櫻井 裕 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 眼科学, 助教 (10338816)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 増殖糖尿病網膜症 / Th17細胞 / 老化T細胞 / IL-17 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、PD-1, CD153分子を発現しているメモリー型T細胞が加齢とともに増加し、免疫老化への関与が指摘されている.これらのT細胞は老化T細胞と名付けられ、老化T細胞は、抗原刺激に対する増殖能は低下しているが、大量のオステオポンチン(OPN)を産生する.3)Th細胞は、サイトカインを介した種々の機能により、IL-12によって活性化し、IFN-γを産生するTh1細胞、IL-4によって増殖し、B細胞の活性化、抗体産生細胞へのクラススイッチを促すTh2細胞、IL-23によって増殖し、IL-17を産生し、マクロファージの組織破壊作用に関与するTh17細胞、そして、IL-10, TGF-βを産生し、他のT細胞の活性化を抑制する制御性T細胞の4種類に大別されるが、老化に伴い、Th1、Th2細胞の機能は低下し、Th17細胞が増加する.そして、増殖糖尿病網膜症(PDR)患者の末梢血中ではOPNが増加していることが報告されている.我々はこれまでに、PDR患者の硝子体液中には、炎症性サイトカインであるTNFαの他、T helper (Th) 2細胞から産生されるサイトカインであるIL-4およびIL-31, Th17細胞から産生されるIL-17AおよびIL-22が黄斑上膜、黄斑円孔、またはサルコイドーシスぶどう膜炎と比較して有意に高濃度で含有されていることを明らかにした.これらの結果から、PDRの発症には老化Th17細胞の関与が示唆され、今回我々は、PDR患者の硝子体液中のOPNを測定したところ、その血清の約10倍の濃度で存在すること、サルコイドーシス、黄斑上膜の硝子体液中の濃度よりも有意に高値であることを認めた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究で得られた結果を国内、国際学会で発表し、以下の科学雑誌に掲載された. Takeuchi M, Sato T, Sakurai Y, Taguchi M, Harimoto K, Karasawa Y, Ito M: Association between aqueous humor and vitreous fluid levels of Th17 cell-related cytokines in patients with proliferative diabetic retinopathy. PLoS One. 12(5):e0178230. 2017 動物実験関しては、糖尿病を自然発症するAkitaマウスとTh2, Th17細胞優位の免疫反応を有するIFN-γ欠損(GKO)マウスを交配させたAkita x GKOマウスを生産することができた.まだ、十分な解析はできていないが、9ヶ月齢のAkita x GKOマウスは、対照の野生型マウス、GKOマウス、またはAkitaマウスと比較して、糖尿病網膜症の発症を示唆する白血球の網膜血管への吸着が更新していること、Akitaマウスにはみられない無灌流領域、網膜白斑の出現を認めている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、以下の研究を予定している. 1.DRの解析:1) 3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月齢の野生型B6マウス、Akitaマウス、GKOマウス、およびAkita x GKOマウスの眼底を眼底カメラ、蛍光眼底造影、ERGで観察する;2) 3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月齢の野生型B6マウス、Akitaマウス、GKOマウス、およびAkita x GKOマウスを屠殺し、眼球を摘出後、網膜伸展標本を作成する.ConA-lectinにて白血球を染色し、網膜血管への白血球の吸着を観察する. 2.全身性免疫能の解析:1) 生後3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月齢の野生型B6マウス、Akitaマウス、GKOマウス、およびAkita x GKOマウスの脾臓およびリンパ節を摘出し、細胞懸濁液を作成後、positive selectionにてCD4+ T細胞を単離する;2) in vitroでanti-CD3 mAbで刺激後、上清中のOPN, IL-10, IL-17, IL-22, IFN-g, TNFa をELISAにて、細胞のCD4, PD-1, OPN, IL-10, IL-17, IL-22, IFN-γ, TNFaの発現をFACSにて、OPN, IL-10, IL-17, IL-22, IFN-γのmRNA発現をreal time PCRにより解析する. 3.免疫活性化マウスでの検討:1)6ヶ月齢の野生型B6マウス、Akitaマウス、GKOマウス、およびAkita x GKOマウスをOVA+CFAで強化免疫する;2)免疫後2週目に上記1、2の解析を行う.
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Causes of Carryover |
これまで、糖尿病を自然発症するAkitaマウスとTh2, Th17細胞優位の免疫反応を有するIFN-γ欠損(GKO)マウスを交配させたAkita x GKOマウスを生産することに時間を要し、動物実験が進まなかったため.
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Research Products
(8 results)